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熱帯夜に溺れる
第6章 泳げない魚たち
 初めてコンドームをつけずに純が莉子の内部に押し入った。莉子の中は容易く彼を受け入れて、次第に馴染む彼のペニスに愛しさが込み上げる。
 もうこれだけで内部が熱くて気持ち良くて、彼女はぎゅっと純にしがみつく。今日何度目かわからないキスを繰り返し交わした。

「ア……、チュゥ、チュ、はぁん、純さんの生のおちんちん気持ちいい……んっ」
「俺も……。チュ、チュ……莉子のナカ、気持ち良過ぎ。チュゥ」

 室内は暖房が効きすぎていて暖かいよりもむしろ暑い。額や首筋、背中に汗が滲む純の姿に、初めて結ばれた熱帯夜を思い出した。

 「愛している」と甘く囁かれ名を呼ばれる。両脚を持ち上げられるとペニスが奥まで当たり、莉子はひときわ甲高く喘いだ。
 罪悪感と背徳感に支配されても止められない欲望にふたりは溺れる。

「アッアンッ……ンッ……ァアンッ!!」
「……ッ! 莉子ぉ……ハァ……、ゥッ、アッ」

 ベッドがふたり分の重みで軋んで悲鳴を上げている。莉子も純も甘ったるい悲鳴を上げていた。

 もう純の家に行くことはない。最後の情事はこんな味気ないホテルのベッドではなく、純の部屋の純の匂いが染み付いたあそこで果てたかった。

 純の息が荒くなり、かすれた呻き声をあげて彼は絶頂に達した。寸前に莉子の中からそれを引き抜いて解き放たれた欲の塊が、彼女の太ももに垂れ流される。

 快感の先を迎えて果てた莉子も純もすぐには身動きができなくて、やがてティッシュに手を伸ばす彼の鈍重な動きを莉子は眺めるだけ。

「ごめん」
「謝らないで」

 莉子の太ももに付着した精液を拭う純は何度もごめん、と呟いた。純は悪くないと伝えようとしても、果てた直後は上手く呂律《ろれつ》が回らない。

(悪いのは私。あなたを引きずり込んだ私なの)
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