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熱帯夜に溺れる
第2章 夏の夢
 14時になる5分前に純が休憩から戻ってきた。戻ってきて早々、彼は取り置きや予約の伝票を確認した後に莉子を呼んだ。

「入荷連絡はした?」
「はい。おひとり、電話が繋がらなかったので留守番電話に入れておきました」
「そっか。あとは……、これは今日受け取りだね。これは……」

 伝票を確認する彼の横顔をじっと眺めた。仕事の要件であっても純と話せるだけでとても嬉しい。

 純との確認事項の会話後は主任にバックヤードに呼ばれ、来月の勤務日程のシフトを出すよう言われた。

 来月は夏季休暇に入っているが、夏休みだから存分に働けることもなく、就活との兼ね合いや休み中にも検定試験があったりと、長期休暇でも莉子の学業は忙《せわ》しない。

 バックヤードから店舗に戻ると純と目が合った。すぐに視線をそらされてしまったけど、彼が見ていた方向には、その時は莉子しかいなかった。

(私を見ていた? どうして? なんで?)

 また悶々とする。そわそわとモヤモヤで心がおかしい。
 心がモヤモヤの次は下腹部の奥に刺激が走ってズキズキと痛んだ。昼食時に飲んだ鎮痛剤はまだ効いていないようだ。

 ひとりで品出し作業を行いながら先程感じた竹倉純の視線の意味に考えを巡らせる。

(あれはただ、ボーッとしていただけで私を見ていたんじゃないよね?)

 変に期待して勘違いだったなら辛い。だから過度に期待しない。してはいけない。

 数ある業務でもひとりになれる品出しと掃除を兼ねたフロアの巡回、そしてゴミ捨ては自分のペースで仕事が行えて気が楽な、莉子が好きな業務だ。

 雑貨レジ、中央レジ、芸術レジにあるゴミ箱を回収し、ゴミをひとつのポリ袋にまとめる。それを持ってスタッフ以外立ち入り禁止区域の通路に入ると空の段ボールが山積みになっていた。

 空の段ボールを分解してゴミ袋と共に台車に乗せる。この段ボールと集めたゴミをエレベーターで下のゴミ捨て場に運ぶ工程までがゴミ捨て作業だ。

 立ち入り禁止区域の重たい鉄扉が開く音が背後で聞こえた。莉子が振り向くと、分解した段ボールを手にした純がこちらに入ってきた。

「手伝うよ」

 純はそう言って、段ボールを次々と台車に乗せ、重たいゴミ袋も軽々持ち上げた。
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