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熱帯夜に溺れる
第2章 夏の夢
 子供が遊ぶ時間は過ぎている。夜が迫る公園に莉子達以外の人の気配はない。
 純の横顔を見つめる莉子の眼差しは熱い。純は莉子には視線を送らず、遠くを見つめていた。

「私の好きな人が誰か、気付いているんじゃないですか?」
「いやー、どうかな。俺の勘違いかもしれない」

(え、何なに? なんなのこの駆け引きはっ!)

 一体なんだろう、この微妙に甘ったるい空気は。

「竹倉さんて、思っていたよりも意地悪ですね。年下からかって面白がってます?」

 彼の余裕の態度に悔しくなってつい可愛げのない言葉が出てしまった。可愛く切り返したいのに素直になれない。
 好きな人の前ほど素直になれない。

「……面白がってはいないよ」

 純の声のトーンがわずかに低くなる。甘い低音が、耳にこそばゆい。

「でもここは男から言わせてね。……好きだよ」

 純に告白しようと思っていたのに、まさか彼から告白されるとは予想もしていなかった。
 精一杯大人びてみても莉子はやっとハタチになる小娘だ。精神的にもまだまだ子供で酸いも甘いも知り尽くした女でもない。

 純は35歳の男。仕事の先輩後輩から関係が進展しても、せいぜい良くて妹的な存在になれるだけだと思ってた。
 告白しても振られると思っていた。

「オジサンが何言ってるんだって気持ち悪がられるかもしれないから、この気持ちは言わないでおこうと思っていたんだ。でもこうなったら正直に言うと、一目惚れだった。初めて見た時に美人な子だなって思って」

(え? もしかして私、今口説かれてる? 35歳の男に口説かれてる!?)

「一目惚れって、私と最初に会った日に?」
「そうだよ」

 純との出会いはバイトを始めて2日目だった。そうなると、純が莉子に惚れた時期は3月の頃にまで遡ってしまうではないか。

 莉子は頭を抱えて唸った。混乱する莉子を見守る純も困った顔で微笑んでいる。

(ちょ、ちょっと待って。頭がパニックで状況整理が追い付かない)

 純が莉子を好きと仮定してこれまでのふたりの経緯を思い出せば、莉子を常に気にかけてくれたことも休憩室でいつも斜め向かいの席に座る彼の行動の不可解さも説明はできる。
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