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熱帯夜に溺れる
第2章 夏の夢
「俺は押しが強い方じゃなくてね。押しが弱いとよく言われるんだよ」

 脚を組んで溜息をついた彼は組み合わせた足元に視線を落とした。

(えっ、それで押しが弱いんですか? 今の状況はめちゃくちゃ押せ押せ☆になってる気もしますが? 確実にイケると思わないと自分からガツガツ行かないタイプ? 肉食系よりは草食系? それとも草食系に見せかけて実は肉食のロールキャベツ系? 葉っぱにくるまっていたと思ったら中にジューシーなお肉がありますよーってヤツ?)

 状況理解の追いつかない莉子はただいま心の声が大暴走中。危うくすべて口に出して心の声を暴露してしまいそうになった。

「佐々木さんくらい若い子だと俺みたいなオジサンは気持ち悪いだろ?」
「オジサンレベルにもよります。気持ち悪いオジサンと気持ち悪くないオジサンがいますよ」
「俺は気持ち悪くないの?」
「はい。って言うか、好きな人を気持ち悪いとは思わないです!」

 勢い余って好きと言ってしまった。気持ちがバレていると思うとやけくそにもなれた。
 純は無言で莉子を見つめ返した。

「先月の土曜日、井上さんと3人で帰りが一緒になった日を覚えていますか? 3人でエレベーターに乗って」
「ああ、うん。覚えてる」
「その時、竹倉さんが全然私を見てくれなくて悲しかったんです。先にスタスタ歩いて帰って行っちゃって……」

 純は額に手を当てて溜息をついた。子供っぽいと呆れられた? と心配したのも束の間、彼の態度を見るとそうではないようだ。

「ごめん。傷付けちゃったね」
「私のことが好きならなんであの時……」
「井上くんと仲良くしてるところを見たくなかったんだ。大人げなかった。ごめんね」

 また溜息をついた彼は、そのままうなだれてしまう。しゅんと肩を落とした純は飼い主に怒られた犬に似ていて、不謹慎ながら莉子はその姿を可愛いと思った。

「あの時のワンピース、竹倉さんのために着たんですよ。あなたに可愛いと思ってもらいたくて」
「じゃあまた俺のために着て欲しい」
「……っ! その言い方はずるいっ!」
「ずるいのはそっち」

 莉子はいつの間にか純の腕の中に閉じ込められていた。

「私、ずるいの?」
「その泣き顔がずるい。可愛すぎる」

 自然と溢れる涙はあの雨の日に流した涙とは違う、嬉しい涙と安堵の涙。
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