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熱帯夜に溺れる
第4章 酔芙蓉の吐息
 こんな状態の莉子を本当に抱いてもいいのか、心の片隅に微量に残る理性が苦悩する。でも今の純はどうしようもなく莉子の心と身体を渇望していた。

 ベッドに寝そべる莉子と手の中のコンドームを交互に見つめる。熱に浮かされた莉子の瞳が期待に満ちて潤んでいた。

 理性の完全敗北を悟った純はTシャツとインナーをまとめて脱ぎ捨てた。ベルトを引き抜き、ジーンズとボクサーパンツを下ろした途端に解放されたペニスが勢いよく飛び出してくる。
 ここまで準備万端整っていてはフェラチオの必要もない。

 勃起したペニスにコンドームを装着し、なるべく体重をかけないようにして莉子の身体に覆い被さる。

「身体辛くない?」
「だいじょうぶ……。アッ」

 充分に濡れた熱い膣内にゆっくりと侵入した純のペニスは奥を目指す前に数秒静止した。彼女のナカに己を馴染ませるこの時間が何よりも愛おしい。

「……動くよ? 辛くなったら言って」
「ん……、アッ、ァア……ッ」

 零れる吐息も、触れ合う肌も、感じる膣内もあついあつい、何もかもが熱い。 
 冷房は効いているのにふたりとも汗だくだった。繋いだふたつの手も汗ばんで、互いの汗で湿った素肌がねっとりと擦れ合う。

「アッ、ァアッ、アンッ……ハァ……、んっ、ァア!!」

 熱と快楽、ふたつの熱さに翻弄される莉子は、前回よりもさらに激しく喘いでいた。律動を刻む純の吐息も熱を宿している。

「ハァン、アンッ、ァッ……アッ!」
「莉子……、ハァハァ……、ンッ」

 あまりの気持ちよさに気を抜くとすぐに射精してしまいそうだ。まだ莉子の湿潤に沈んでいたい純は、射精の気配を堪えて泳ぎ続けた。

 どこまでも莉子に堕ちた真夏のひととき。
 最初から溺れるつもりの底なしの愛を永遠に、君だけに……。
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