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熱帯夜に溺れる
第4章 酔芙蓉の吐息
 井上はあからさまに三連休の莉子の不在を残念がっていた。大げさなリアクションもこれが彼の通常運転だと慣れてしまえばどうと言うことはない。
 8月にシフトに入らなかった代わりに井上は9月の三連休はすべての日にシフト入りしている。勤労に励んでけっこうなことだ。

 純は万年筆売り場で初老の男性相手に万年筆の接客の最中であり、莉子と井上の会話は彼には聞こえないだろう。

 店内は買い物を楽しむ人々で賑わっていた。家族連れや小中学生、高校生のカップル、結婚式の招待に必要な品物を買い揃える新婚夫婦など、様々な人達が休日を楽しんでいる。

 最近は純が女性と接している場面を見るとモヤモヤするようになってしまった。元々、彼は女性店員との会話は少ない。必要以上の雑談はしない人だ。
 だからたまに女性店員と純が笑顔で会話をしている場面を目撃すると心穏やかではいられなかった。

 先ほども、純が若くて可愛らしい女性客の接客をしていてモヤモヤ、チクチク、心が痛かった。仕事中の心は嫉妬の嵐。

 仕事とプライベートの区別をつけようと思うのにつけられない。最近はその傾向が益々強まった。
 会えるだけで幸せだった片想いからプラトニックな両想いとなり、身体を重ねた熱情的な愛を知ってしまった。

 愛は知れば知るほど貪欲《どんよく》になる。純の愛を際限無く求めてしまう自分が、莉子は怖かった。
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