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熱帯夜に溺れる
第4章 酔芙蓉の吐息
「ごめんなさい。仕事中に……。でも私よりも可愛い女の子や私よりも綺麗な人が純さんの側にいるのが嫌なの」
「莉子、顔を上げて俺を見て」

 力強い声色で名前を呼ばれた莉子は涙で潤む瞳を彼と合わせた。

「莉子はもっと自分に自信持っていいんだよ。莉子は可愛いし綺麗。俺にとっては莉子が一番の女の子だよ」

 どうしてこの人は莉子が求める一番言って欲しい言葉をくれるのだろう?
 いつも、いつも。純が与えてくれる底なしの愛に、息もできずに溺れていく。

「莉子がヤキモチ妬いてくれるのは嬉しいよ。それにヤキモチなら俺だって同じ」
「純さんもヤキモチ妬いてるの?」
「妬いてるよ。井上くんには特に……」

 純はバツが悪そうに莉子から目をそらした。やはり純は井上に対抗意識を燃やしているようだ。

「井上さんとは何もないよ。告白だってされてないもん」
「わかってる。でもあの人は事あるごとに莉子にベタベタするだろ。仕事中だとわかっていても、俺だって気が変になりそうなんだ。莉子はイケメンに目がないから若くてかっこいい客が来た時にはこっちだってハラハラしてる。俺みたいなオジサンよりも若いイケメンの方がいいよなって……」

 大人な彼の内に秘めた本音を聞けて思わず口元がにやけた。涙混じりの笑い声が莉子から漏れ出る。

「ふふっ。そりゃあ、UN-SWAYEDのSEIYA並みのイケメンなら純さんをポイッとしちゃうかもだけど。そんな芸能人並みのイケメンはこんな地方じゃいないしなぁ」
「面食いだなぁ。この前のライブに行ってから莉子がUN-SWAYEDとその……なんだっけ、セイヤ?」
「ベースとサブボーカル担当のSEIYA!」
「そう、そいつの話しかしないから、俺もそのバンドを勉強してるんだよ。莉子の好きなモノの話をちゃんと理解して聞いてあげたいんだ」

 純は莉子の鼻先を人差し指で突いて、困った顔で首を傾げた。彼の困り顔も今では見慣れてしまったが、莉子がそれだけ純を困らせている証だと思うと申し訳なくなってくる。

「莉子が思ってるよりもずっと俺は莉子に惚れているんだ。わかった?」
「はい……。ごめんなさい」

 優しいキスの雨が莉子の固くなった心をとろとろに溶かす。
 綺麗だよ、可愛いよ、好きだよと、キスの狭間に甘い言葉を囁く純の唇は莉子の唇を淫《みだ》らに補食して離さなかった。
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