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熱帯夜に溺れる
第4章 酔芙蓉の吐息

夕食後にふたりで入った室内露天風呂からは海が見えた。莉子達の地元に近い、慣れ親しんだ海ではない。同じひとつの海でも波の揺らぎで作り出される表情は違うものだ。
賑わいのシーズンを終えた秋の海は夜風になびき、静謐《せいひつ》な空には上弦を過ぎて膨らみかけた月が浮かぶ。
月見もほどほどに湯けむりの戯《たわむ》れが始まれば、ふたり分の吐息混じりの甘い声が漏れ聞こえた。
戯れが過ぎて少々湯あたり気味だった莉子と純はひとつの布団にふたりで寄り添い寝転んだ。
チェックイン前に旅館の売店で購入したアイスクリームを湯冷ましに食べながら談笑を重ねて過ごしていたけれど、恋人達がこのまま、ただ眠るだけの夜を過ごせるはずもない。
しわくちゃになったシーツに折り重なって莉子と純は唇を寄せては離してを繰り返した。抱き合う男女の頬の火照りの理由は湯上がりと酒と、押し寄せる情欲のせい。
布団の上にあぐらを掻く純に対面するように、彼の膝の上に莉子が乗った。まだまだ足りないと求めるふたつの唇が濃厚なリップ音を奏でている。
「チュ……チュ……、莉子……可愛いよ」
「っん、チュ、チュゥ……ァッ」
莉子の浴衣は着崩れて胸元がはだけている。現れた滑らかな素肌には、昨夜のシティホテルのベッドで純に愛された痕跡が点在していた。
昨日よりも赤い刻印の数が増えているのは、先ほど露天風呂で純が愛した分だ。
はだけた襟《えり》の隙間から差し込まれた骨張った手が胸の膨らみを弄り出すと、身をよじらせた彼女の甘い声が純の耳元を撫でてゆく。
アルコールと湯上がりの影響で頬と身体を桃色に染めた莉子の姿は、フラワーパークで目にした酔芙蓉《スイフヨウ》の花に似ていた。彼女が漏らす甘ったるい吐息が耳朶《じだ》をなぞるたび、純の理性と心身は莉子に酔わされ狂わされる。
対面でキスを重ねたまま、甘美なやりとりは続けられる。乱れた衽《おくみ》からあらわになる太ももが彼を妖しく誘っていた。
賑わいのシーズンを終えた秋の海は夜風になびき、静謐《せいひつ》な空には上弦を過ぎて膨らみかけた月が浮かぶ。
月見もほどほどに湯けむりの戯《たわむ》れが始まれば、ふたり分の吐息混じりの甘い声が漏れ聞こえた。
戯れが過ぎて少々湯あたり気味だった莉子と純はひとつの布団にふたりで寄り添い寝転んだ。
チェックイン前に旅館の売店で購入したアイスクリームを湯冷ましに食べながら談笑を重ねて過ごしていたけれど、恋人達がこのまま、ただ眠るだけの夜を過ごせるはずもない。
しわくちゃになったシーツに折り重なって莉子と純は唇を寄せては離してを繰り返した。抱き合う男女の頬の火照りの理由は湯上がりと酒と、押し寄せる情欲のせい。
布団の上にあぐらを掻く純に対面するように、彼の膝の上に莉子が乗った。まだまだ足りないと求めるふたつの唇が濃厚なリップ音を奏でている。
「チュ……チュ……、莉子……可愛いよ」
「っん、チュ、チュゥ……ァッ」
莉子の浴衣は着崩れて胸元がはだけている。現れた滑らかな素肌には、昨夜のシティホテルのベッドで純に愛された痕跡が点在していた。
昨日よりも赤い刻印の数が増えているのは、先ほど露天風呂で純が愛した分だ。
はだけた襟《えり》の隙間から差し込まれた骨張った手が胸の膨らみを弄り出すと、身をよじらせた彼女の甘い声が純の耳元を撫でてゆく。
アルコールと湯上がりの影響で頬と身体を桃色に染めた莉子の姿は、フラワーパークで目にした酔芙蓉《スイフヨウ》の花に似ていた。彼女が漏らす甘ったるい吐息が耳朶《じだ》をなぞるたび、純の理性と心身は莉子に酔わされ狂わされる。
対面でキスを重ねたまま、甘美なやりとりは続けられる。乱れた衽《おくみ》からあらわになる太ももが彼を妖しく誘っていた。

