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熱帯夜に溺れる
第1章 梅雨と乙女心
 どんな理由で「連絡先教えて下さい」って切り出せばいい?

「だけど仕事中にプライベートなことは話せないよ。雑談程度ならできてもそういうこと仕事中に聞くのは常識ない子って思われるのも嫌」
{バイトの帰りに待ってみるとか? 土曜は終わる時間同じなんでしょ。帰り道一緒になれば話すタイミングあるんじゃない?}
「うん、帰り……頑張ってみる。杏奈、話聞いてくれてありがとね」

 杏奈の言うように、上手くいけば土曜に帰り道が一緒になるチャンスはある。バイトはきついけれど、彼に会える土曜日の勤務は楽しみだった。

 杏奈との通話を終えた莉子は窓の外に目を向けた。
 大粒の雨が窓に打ち付けている。6月も半ばに差し掛かり、今週はこの地方も梅雨入りを迎えた。

 夏を迎える前には、純との距離がもう少し近付けているといい。あわよくば……なんて妄想を始めれば、莉子は口元が緩んだ顔を枕に伏せた。

(ヤバい。ムラムラしてきた)

 純との恋の妄想をしていたら無意識に指がショーツのクロッチをなぞっていた。それだけでは物足りなくて、ショーツを脱いだ莉子はベッドの上で両脚をM字に開脚させる。

 割れ目に2本の指を這わせれば、すぐにクチュクチュと蜜の溢れる音が響いた。久々のオナニーは純とのセックスを妄想するだけで簡単に濡れてしまった。
 純に触られて舐められて、固くなった彼のペニスをここに入れて奥まで突かれて……。

「アッ、アンッ……純さぁん……。アッ」

 早く会いたくて顔が見たくて、その夜に見た夢には竹倉純が現れた。
 夢の中の彼の隣には莉子がいて、莉子達は手を繋いで幸せに笑っていた。

 どうか夢が現実になりますように。
 正夢でありますように。
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