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熱帯夜に溺れる
第4章 酔芙蓉の吐息
 採用条件に検定資格の一定基準があるネイル業界とは違い、エステ業界は資格がない未経験者でも歓迎される。エステサロンに勤務させながらエステティシャン資格を取得させればいいからだ。

「私らが居残り追試してまで、死にものぐるいでエステ資格取ったのに、資格のないド素人がサロンでエステティシャンですって顔して働いているんだよ。現実ミターって感じ」
「エステはねぇ……。さすがに新人1日目からお客さんを相手にはしないだろうけど、接客してくれた人が資格持ってるか持ってないかって、お客側がわからないところがグレーゾーンだよね」

 エステコース在籍の知咲の愚痴はわからなくもない。
 美容専門学校生が高い学費を払ってエステティシャンとなる教育を受ける間に、まったくの素人がエステサロンに勤務して賃金を貰いながら資格を取得する。

 要するに勉強してから就職するか、就職してから勉強するかの違いなのだが、莉子や知咲を始めとする美容専門学校生からすれば割りに合わない現実であった。

 美容系資格のうち、国家資格となるのは美容師と理容師の資格のみ。美容専門学校で取得可能なネイリストとエステティシャンの資格は民間資格であり、採用条件が甘い店なら資格がなくとも勤務できる場合がある。

 ちなみにメイクアップアーティストとなって他人の顔に化粧を施すには、美容師免許が必要だ。美容師課程コースを通っていない莉子はメイクアップアーティストにはなれない。

「ネイル以外の職種への方向転換は考えてはいるんだよ。今のマンションの家賃、学校卒業までは親が支払ってくれるけど、卒業すれば自分で払わないといけないじゃない。バイトの給料だけだと家賃や生活のお金まで稼ぐのはちょっと厳しい」
「独り暮らしもフリーターの収入だけでやっていけるほど甘くはないだろうねぇ」
「そうそう。だから地元で正社員の就職先がないなら一旦は親元に帰って来なさいって言われてるんだ」

 莉子は表情を曇らせた。仕事の都合で莉子を残して隣接県に移り住んだ母親と義父から下された就活のタイムリミットは来年の2月。

 2月までに地元か、ここから通勤可能エリアで正社員の内定を貰えなかった場合は専門学校卒業後に現在住んでいる単身者用マンションを引き払って実家に戻り、あちらの県で就職活動をすること。
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