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木の実を集めて君にあげる
第7章 妊娠したけどあいつは居ない
そんな最悪なラブホでの顛末の後でも、
瑞樹ちゃんは変わらず、
っていうか僕が気にしないように本当に優しく自然に接してくれてたから、
僕は瑞樹ちゃんの優しさにある意味、甘えるように、
せっせと大学の送り迎えをして、
予備校で席を並べて、
土日なんかも瑞樹ちゃんの家にお邪魔して一緒に勉強したり、
タロウの散歩しながらのんびり歩いたり、
海を観に行ったり、
水族館に行ったりしていた。



瑞樹ちゃんはやっぱり時々、
月に一回、
びっくりするくらい具合が悪くなっては、
貧血を起こしたり、
倒れ込むようになったりすることがあって、
それはもう、心配もしていた。


2人の母親たちは、
結構、呑気に、
「出産すれば、すーっと良くなることもあるしね?」と言うけど、
真っ白な顔で苦しんでいる瑞樹ちゃんを見るのが辛くてたまらなかった。

何か、重篤な病気なんじゃないかと、
病院を勧めても、
肝心の瑞樹ちゃんがとても行くのを嫌がっていた。

まあ、産婦人科なんて、
確かに病院の中では歯医者と同じくらい、怖そうな気もする。



もうすぐ夏休みになる頃、
いつものように瑞樹ちゃんの大学に迎えに行った。

大抵、図書館に居るから、
車を置いて図書館に向かうと、
ぼんやり座っている瑞樹ちゃんがびっくりするほど綺麗な顔をしていた。

なんていうか、
女神みたいだった。


僕は思わず足を止めて、
暫く見惚れてしまっていた。


瑞樹ちゃんが顔を上げて、僕に笑い掛けながら鞄を持ったので、
僕は慌てて近くに行って鞄を持ってあげようとして、
右の薬指に華奢な指輪が嵌められてるのを見つけてしまって固まる。


でも、すぐにそのことは言えなかった。


車を走らせてる時も、
瑞樹ちゃんは自分の右手を見つめながら、
物凄く優しい顔で微笑んでいた。


また、あいつの匂いが瑞樹ちゃんから立ち昇っているような気がして、
吐き気がしそうになるのを必死に抑えながら瑞樹ちゃんの家までなんとか辿り着いた。
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