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木の実を集めて君にあげる
第1章 桜の樹の下で出逢う
瑞樹ちゃんがピアノを習っているのを聞いて、
ママに頼んで瑞樹ちゃんと同じ先生の処でピアノを習い始めた。

でも、大手の集団の子供用のレッスンじゃなくて、
個人の先生のピアノ教室だから、
そこで会うことはなかった。

結構厳しい先生で、
なかなかレッスンは子供心に辛かったけど、
「手が大きいから有利ですよ?」と言われて、
小学校まではそこそこ頑張って通っていた。


優雅なお辞儀をしていたのは、
バレエを習っているからってことも聴いたけど、
流石にそれは習いに行けないと思った。

それより、瑞樹ちゃんを守ってあげたくて、
空手教室に行き始めた。


ママは、
「喘息が少しでも良くなるように、
少しだけ運動させないとって、
バレエ習いに行ってるみたいね?
女の子は良いわね」とパパに言っていた。

女の子じゃなくて、
瑞樹ちゃんだから、可愛くて良いんだよと、
心の中で思った。




「ゆうくん」と呼ぶと、
僕と高橋の2人が振り向くから、
瑞樹ちゃんはキチンとそれぞれを「ゆうすけくん」「ゆうまくん」と呼んでくれていた。

ダンゴムシの件で仲良くなった「ひろこちゃん」も加えて4人で遊ぶことも多かった。


幼稚園時代は時間の進み方もゆっくりで、
永遠に一緒に居られるのかと思ったけど、
残念ながら卒園を迎えた。


瑞樹ちゃんと紘子ちゃんはそのまま、
上の小学校に進み、
僕と高橋は受験して、
私立大学の附属に通うことになった。


卒園式の日、
ママに頼んで、
瑞樹ちゃんの為に小さいピンクのチューリップのブーケを用意して渡した。

凄く喜んでくれて、
ほっぺたにキスしてくれて、
泣きそうになった。



「またね?」って言い合ったけど、
次に会えるのはずっと先のことだった。


2人で撮ってもらった写真の中の僕は、
涙を堪えて変な顔をしていて、
瑞樹ちゃんは写真が苦手なのか、
ぎこちない笑顔をしていた。
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