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木の実を集めて君にあげる
第8章 どうやったら護れる?
後から訊いたら、
ナースステーションにお菓子の差し入れをした時に、
「赤ちゃん、残念でしたね?
でも、まだ、お若いから…」と看護師の1人がお父様に言ってしまって、
この件を知る処となったようだった。


「瑞樹は勘当だ」と言って、
その後、病院にも来なくなった。


瑞樹ちゃんは、悪い処は無いはずなのに、
なかなか目を覚さず、
ようやく意識が戻ってからも、
話をすることも出来なくて、
脚も動かなかった。

ずっと寝たきりで、
脚の筋力が落ちたせいかと思ってたけど、
多分、精神的な影響だろうと言われて、
リハビリとカウンセリングを受けることになった。

でも、正直、良くなる兆しもなかった。


退院が決まった時、
僕の家に連れて帰るのかと思っていたら、
瑞樹ちゃんのお母様が、東京のマンションに2人で行きなさいと言ってくれた。


室内は、車椅子でも大丈夫なようにリフォームされていて、
お風呂場にも座ったまま身体を洗えるような椅子があったり、
お手洗いも車椅子ごと入れるようになっていた。

そして、昔、住み込みでお手伝いさんをしていたという女性を、ヘルパーさんとして毎日、派遣してくれることになった。


車は、父親が、
「出世払いで良いから」と言って、
車椅子が入るような大型のものに買い替えてくれた。


全て、親におんぶに抱っこで、
恥ずかしくて仕方がなかった。


おまけに、
「お前、アルバイトしてでも、瑞樹ちゃんを食わせる。
司法試験止めるって思ってるみたいだけど、
普通のサラリーマンより、
司法試験受かって法曹界に入った方が長い目で見れば瑞樹ちゃんの為になるぞ。
それまで支援するから、
親と兄貴に甘えろ」と言われて、
だったら本当に最短で合格してやると思った。




車椅子に頼りながらヘルパーさんと一緒に復学した瑞樹ちゃんは、
なんだかお人形さんのようだったけど、
とにかく僕と一緒に居てくれることを神様に感謝した。

通学の送り迎えの時間も短くなったから、
結果、勉強時間も増えた。

予備校の授業は、オンラインに切り替えて、
2人で自宅で受講するようになった。


でも、瑞樹ちゃんがベランダや階段から飛び降りてしまいそうな気がして、
ベランダには1人で出れないように鍵をつけたりしていた。

それくらい瑞樹ちゃんは儚くて、
どこかに飛んでいってしまいそうだった。
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