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木の実を集めて君にあげる
第8章 どうやったら護れる?
婦人科的な「処置」が終わって、
2回目の脳のMRIも異常が見られず、
バイタルも安定してきたところで、
個室の病室に移されたけど、
瑞樹ちゃんはずっと眠ったままだった。


心配して駆けつけた瑞樹ちゃんのお父様は、
ICUだと何も出来ないなと言いながらも、
毎日、仕事の合間にお見舞いに来ていた。

個室に移ってからも同じで、
「まるで眠り姫だな。
王子様がキスしたら目を覚ますんじゃないのか?」と僕に冗談を言うほどだったけど、
本当に悪い処は無いはずなのになかなか瑞樹ちゃんは目を覚さなかった。


そして、江川さんからは、
「無事に告別式まで終わった」というショートメールが届いた。




そんなある日、
瑞樹ちゃんのお父様が病室に入るなり、
突然僕の首根っこを掴んで、
「赤ちゃんて、なんだ?
どういうことだ?」と言った。


「パパ、落ち着いてちょうだい?
ここ、病院なのよ?」と瑞樹ちゃんのお母様が言っても、
手を緩めることはなかった。


手が少し緩むのを感じて、
僕は声を絞り出した。


「申し訳ありません。
瑞樹ちゃんを妊娠させました。
産みたいと言ってくれてたので、
6ヶ月に入ってからご報告しようと…」


「何を言ってるんだ?
まだ2人とも、学生じゃないか?
瑞樹は未成年なんだぞ」と怒鳴られる。


「本当に申し訳…」


「子供を育てられるほどの甲斐性はあるのか?
大学はどうするつもりなんだ?」


「司法試験を辞めれば、
在学中も家庭教師などをして、生活費は稼げます。
卒業後、就職して、瑞樹ちゃんを養います。
若いうちは、
贅沢な生活はしてあげられないですけど、
お金のことで、苦労させないよう努力します。
子供のことも、
こんなことになるとは思ってなくて…。
母も育児に協力してくれると言っていたから…」と言いながら、
僕は泣いてしまっていた。


「そんな泣き虫のオトコに、
大切な娘はやれない」と言って、
お父様は出て行ってしまった。


瑞樹ちゃんのお母様は、小さい声で、
「本当に父親って、悠介くんなの?」と訊いた。

僕は歯を食いしばって、頷いた。


「そう。
判ったわ。
私は、悠介くんと瑞樹さんのこと、応援するから。
でも、パパは簡単に賛成しないと思うわ」と言うと、
追い掛けるように出て行ってしまった。
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