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木の実を集めて君にあげる
第2章 僕の暗黒時代
小学校は、何もなければ高校までエスカレーター式の処で、
上の兄たちも通っていた学校だった。

男子だけで、自由な校風だけど、
厳しさもあった。



高校の時点で上位に居たら、
上にくっついてる大学で好きな学部に進学出来る。
受験して別の大学を目指すヒトも居る。
学部を選ばなければ、
そのまま大学にも上がれる。

でも、そんな話を聞きながらも、
それはかなり先のことだと思った。


小学校時代は、学校生活で結構パツパツではあったけど、
1年に一度あるピアノの発表会で瑞樹ちゃんに会えるのが物凄く楽しみだった。

母親同士が仲が良いから、
終わった後にお茶をすることも嬉しかったけど、
いつも僕は恥ずかしくて、
ぶっきらぼうな態度を取っていた。

瑞樹ちゃんも恥ずかしそうに下を向いているので、
あんまり会話も出来なかったけど、
うちの母親が、毎回お店の人に頼んで、
写真を撮ったりしていたから、
僕はこっそりそれを楽しみにしてた。


中学になると、
「勉強が忙しいから」と言って、
ピアノは辞めてしまった。

でも、瑞樹ちゃんには会いたくて、
毎回、こっそり発表会には通っていた。


その頃には、
僕は半分「オトナ」になりかかっていて、
声変わりもしてたし、
なんていうか、その…、
ペニスがヘンテコになっていて、
それが恥ずかしくて仕方がなかった。


瑞樹ちゃんの小柄なのに少しふっくらした胸とか、
しなやかに動く指先とかを妄想しては、
股間を膨らませていた。


そんなこともなんだか瑞樹ちゃんに酷いことしてるようで、
とても瑞樹ちゃんのことを直視出来なかった。


その分、スポーツに打ち込もうかと思って、
空手に続いて小学校半ばから始めていた剣道にのめり込んでいった。


無心になる。


そうしないと、本当に、
瑞樹ちゃんのことを妄想の中でどうにかしちゃいそうで、
そんな自分をえらく恥じていた。


異常なのかな?

そう思うと、誰にも相談出来ない。

お兄ちゃんたちはもう、仕事で外に住んでいたし、
お母さんに訊くことも出来ない。

高橋にも訊けないまま、
かなり悶々としていた。
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