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木の実を集めて君にあげる
第9章 夜明け
明け方、ふと目が覚める。

瑞樹ちゃんは僕の腕の中で、
小さな寝息をたてながら眠っていた。

あまりにも可愛くて、
愛おしくて、
僕は思わずそっと額にキスをしてしまうと、
瑞樹ちゃんが目を開けてしまった。


「眠れないの?」と訊くと、
そっと首を横に振る。

静かな声で、のんびり2人で眠たくなるまで話をした。


瑞樹ちゃんは、
3月20日に、りんくんの墓参りに行きたいと言った。

多分、月(るな)ちゃんと宇田川亮平の墓参りも兼ねてだと思った。

それまで、脚のリハビリもこれまで以上に頑張りたいと言っていた。


司法試験も一緒に受けるから、
勉強すると口にした。

ちょっと入院とかで勉強が遅れてるから、
僕だけでも先に受かってねと言うけど、
地頭が良い瑞樹ちゃんの方がすんなり受かる気もした。


それと、
月(るな)ちゃんのことも少し話した。

名前はふわっと頭に浮かんだみたいで、
宇田川亮平と話していた訳じゃないみたいだった。

そりゃ、そうだろう。

でも、性別も国籍も感じさせない名前で、
素敵だねと言った。


それと、
思わず僕がヤキモチ焼いてたから、
流産したのかもと言うと、
そんなことないし、
僕は悪くないのにと言う。


自分を責めてしまいそうな瑞樹ちゃんに、
僕の母さんと生まれてこなかった3人目の兄か姉の話をした。

2番目の兄貴と僕の間には、
本当はもう1人、兄か姉が居たらしいけど、
流産したとこの前、瑞樹ちゃんが入院してる時に母さんから聴いた。


それは、何か理由があってそうなったんだからと、
母さんは言っていた。

タイミングなのか、
お母さんの体調なのか、
赤ちゃんの身体の問題なのか、
その他の環境や問題があるのか。


だから、その時は生まれてこなくても、
また、最適な時にやって来てくれるからって言われた。


確かに今回、
このタイミングで生まれてきても、
子育て、学業、生活、
全て整っている訳でもなく、
肝心の宇田川亮平も一緒に居られる訳ではなかった。


だから、神様が決めた運命みたいなものだったのかもしれない。

そのことで、自分を責めることはないって話を、
話し方を変えて何度もしていた。

瑞樹ちゃんは最後に、
「悠介さんのこと、両親に言わせて?」と言って、
また2人で丸まって眠った。


2人に本当の夜明けが来た。

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