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私が小さな男の子を好きになった理由
第6章 背の低い男の子は嫌いですか?2
「んっ・・・・。」
ヤツはムッと口元を結んだまま、睨むような眼差しで私に封筒を突き付けた。

「んっ・・・・?」
私は訳が分からず、同じ声を返した。

「ん・・・んっ・・・・。」
一瞬、ヤツは目を泳がせたが、ヤケクソのように声を出すと、そのまま封筒を押し付けて走り出した。

「ええっ・・・・?」
私は唖然として、走っていくヤツの背中を眺めていた。

すると、突然。
ヤツは花壇のある芝生に突っ込むようにして・・・こけた。

「ええっー・・・?」
さっきよりも更に大きな声で私は叫んだ。

芝生の上でヤツはうずくまっている。
駆け寄ると、痛みが強いのだろうか右足のすねを抱え、呻いている。

「だ、大丈夫・・・・?」
私が聞くと、太い眉毛のサル顔がこちらを向いた。

「イ、イテェ・・・。」
目尻から涙が流れ、光っている。

よほど痛いのか、暫らくそのまま唸っていた。
ようやく絞り出した声に、私は笑った。

「だって、こうすりゃ、胸キュンだって・・・。」

西島の説明では、必ず成功すると山田に言われたらしい。
「女の子に告白して胸キュンされる方法」を真に受けたようだ。

「ん・・・て、差し出すんだよ、ラブレターは・・・。」
「恥ずかしさの中に、演出された男の純情なのさ・・・。」
「そして、走って彼女の気を引いてさ・・・。」
「こけるんだよ、ヘッドスライディングで・・・・。」
「これで彼女の心は鷲づかみ、胸キュンさ・・・・。」

一通り説明を聞いた私は、開いた口がふさがらなかった。
そして、拳を握りしめて声をだしていた。

「や、山田ぁ・・・。」
バカな男子はいくつになっても、バカだ。

このサル顔のバカな西島も。
芝生に座り込み、ジッと私を見上げている。

(か、かわいい・・・。)

私は心の中で呟いた言葉に、心底、ムカついていた。
山田の思惑に、まんまとハマった気がしたからだった。

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