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not erotic love stories
第136章 掲示板:初めてのバレンタインチョコ
人生の中で、一番の全力疾走だったのかもしれない。

でも、霞む意識の中で僕の脳裏に浮かんでいたのは天使の笑顔だった。
ぷっくりした唇が、少し開かれた隙間から覗く白い歯。

重そうな二重瞼から、キラキラ光る粒がいくつも宿っている大きな瞳。
僕が大好きな少女の顔だ。

ゴールテープは用意されていない、第二中継所に向かって走る僕の視界の先には、その天使が微笑んでいたんだ。

だから。
僕はありったけの力を振り絞り、タスキを握った右手を懸命に振っていたんだ。

絶対、区間賞を取ってやる。
約束をした訳ではないけれど。

僕の天使に。
プレゼントするために。

疾走するアスファルトがグレーな色で続いていく。
僕のゴールは、すぐそこに迫っていた。


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