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not erotic love stories
第139章 デッドヒート:初めてのバレンタインチョコ
石井さんが待っていてくれたか不安だったけど、誰もいない教室に僕の肩は切なくうなだれた。
仕方ないことだと苦笑しながら、机の中をまさぐった。

せめて今夜は彼女の手紙を何度も読み返しながら、幸せを噛みしめたかったのだから。
でも、何度探しても手紙は見つからなかった。

残されていたのは封筒に入っていたチョコレートだけだった。
可愛いイラストがある「ペロペロキャンディー」型のチョコだった。

ブランドの高いチョコではなく、スーパーでも買える安いもの。
でも、その時の僕にとって世界で一番、美味しいチョコレートだった。

何故、手紙が無くなっていたのかは深く考えなかった。
もしかしたら、明日、教室のどこかに見つかるかもしれないと思ったから。

『この手紙を書きながら、私の心は何だかフワフワしています』
冒頭の一行は今でも覚えていている。

『君は、どんな曲が好きなのかな?私はユーミンが好きです』
二行目を読んで、僕はユーミンが好きになったんだ。

明日は石井さんとどんな話をしようか。
僕は駅伝の疲れがあるにも関わらず、中々眠れない夜を過ごしていった。


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