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月あかりの夜
第2章 本屋で遭遇
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会計を済ませてゆっくり出たら、店の暗がりに女子高生が立ってこちらを見ている。
帰る方向なので近づいてしまう。
目の前に来ると、
「お帰りですか」と話しかけられた。
ちょっと以外であったが、
「ええ、帰りです」と反射的答えた。
挨拶にうるさく云われて育った癖である。
前を会釈して通り過ぎると、彼女も同時に動いた。
そのまま一緒に帰るようなことになったが、普通は小走りにいなくなるはずであった。
妻に男の癖に歩くのが遅いと云われているペースに合わせているではないか。
「歩くの、遅いでしょう。大丈夫ですか」
「はい、ほんとうに遅いですね。能の出みたいの、すり足ですね」
と、足元を見られながら言われた。
「能をご存じなのですか」
「云って見ただけですよ。その遅さなら捕まらずに逃げれたわね」
帰る方向なので近づいてしまう。
目の前に来ると、
「お帰りですか」と話しかけられた。
ちょっと以外であったが、
「ええ、帰りです」と反射的答えた。
挨拶にうるさく云われて育った癖である。
前を会釈して通り過ぎると、彼女も同時に動いた。
そのまま一緒に帰るようなことになったが、普通は小走りにいなくなるはずであった。
妻に男の癖に歩くのが遅いと云われているペースに合わせているではないか。
「歩くの、遅いでしょう。大丈夫ですか」
「はい、ほんとうに遅いですね。能の出みたいの、すり足ですね」
と、足元を見られながら言われた。
「能をご存じなのですか」
「云って見ただけですよ。その遅さなら捕まらずに逃げれたわね」
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