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月あかりの夜
第6章 痴漢

 事務所の入口で、
「ああ、いたいた。何やっているの」と例の女子高生がやって来た。

「あ、先輩。わたしら痴漢捕まえました」とリーダらしい女学生が言った。

「やった犯人は・・・」
 
腕を掴まれたままで前に押し出されて、
「このオヤジですよ。女子の敵です」

「ははーっ、えー、痴漢におよんだんだ。信じられないけど、そんな勇気あったのだね」

「先輩、お知り合いですか。このオヤジ」

「このぼーとしてるの、わたしの電車パパよ。今朝はぐれたらこれだものねー」

「そうなんですか。先輩のデンパでも駄目ですよ。証拠写メ取ってあります」

「ちょっと、見せてよ写メ」と真剣な顔で言った。
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