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第3章 ９月の雨（September Rain）

　11　みっき…

　確かにわたしの怪我するまでの実績は信じられない程の実績なのである、だからこそ、簡単に信じられないくらいであるからこそに、
　ええーっ…とか

　マジでぇ…とか、信じられないみたいなリアクションされるのもまるで法螺話しや、自慢話しみたく受け取られてしまい、余計に、嫌なのであった。

　すると、さすがスーパー彩ちゃんである…
　わたしの嫌がる様子を敏感に察知してくれ、スッとその鈴木専務の会話に入り込んでくれて話題を変えくれたのである。

　本当に彩ちゃんを連れてきて大正解であったのだ…

「なんかぁ、みっき社長のみっきってぇ、あの夢の国のキャラクターみたいですよねぇ…」

　さすがである…

「そうだなぁ、確かに、最近行ってないなぁ…」

「ああ、わたしもですぅ、じゃあ専務ぅ、今度連れて行ってくださいよぉ」
　と、彩ちゃんは速攻の攻撃を黒田専務に仕掛けていく。

　この会話はある意味定番中の定番の会話であり、鉄板的に
「うん、じゃあ、今度行こうか…」
　という会話が成立するのである。

「わぁ、嬉しい、じゃ、マジでぇ連れていってくださいよぉ」

「ああ、うん、マジ約束するわ」
　黒田専務はもう半分以上、彩ちゃんに落ちていた。
　いや、隣の鈴木専務も彩ちゃんの魅力には相当ヤラれている感じがしていた。
　そして会話はすっかりわたしのバスケット話しから、夢の国の話題へと変わっていったのであった。

　本当に彩ちゃんはMVPであったのだ…


「じゃあ、二軒目、行きましょうよぉ…」
　そんな彩ちゃんの音頭により、とりあえずこの一軒目の酒宴はお開きとなる。

「黒田専務ぅ、わたしぃ、カラオケ行きたいですぅ…」
　彩ちゃんは店の外に出るなり、黒田専務の腕に絡まり、甘えた声を出したのだ。

「あ、うん、じゃ、カラオケ行くかぁ」
　黒田専務もそんな彩ちゃんの甘えにノリノリとなっていた。

「じゃあ、黒田専務、せっかくなんですが…」
　少し体調悪いので…
　と、軽く言い訳をして、ここで帰る旨を伝えたのだ。