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雨の降る夜は傍にいて…
第3章 9月の雨(September Rain)
 13 Bar Wooods(バーウーッズ)

『Bar Wooods(バーウーッズ)』

 それは、両隣に10階以上の高いビルに挟まれたその築約30年以上は経っているであろう老朽した5階建てのコンクリート製のビル、その一階の古びたドアに木製の看板が掛かっているだけといういかにも一見さんは入りにくいバーであった。
 このバーウーッズのドアをわたしは開ける。

「こんばんは…」 
「おや、いらっしゃい、雨の妖精さん…」
 店内は約8坪程度広さの逆コの字型の10席の木製のカウンターのみのである。
 店内にはびっしりと色々な種類のお酒等々が棚に隙間なく並んでいた。
 そして薄暗く静かにジャズの調べが流れている、典型的なバーといえる。

 そしてこのバーのマスターが今日の夕方、彩ちゃんとの会話の中で想い浮かべた、つい最近、三年振りに再会した、元彼、いや、どちらかといったらセフレに近いのかもしれない…
 わたしを『雨の邪気』と称した男であるのだ。

「なんとなく…
 今夜は顔が見れると思っていたよ…
 雨の妖精さん…」
 そう彼、マスターが微笑みながら呟いてきた。

「ふうん、そう…なんだ」
 ズバリ、見透かされていたようでそうぶっきら棒に応える。

 このマスター…

 年齢は49歳、ま、見た目は42~3歳位のやや若作りである。
 身長はさほど高くなく170センチ少し位であろう。
 カクテルや、お酒のうんちくに関してはわたしの師匠的存在であり、あのカクテル言葉もこのマスターに教わったのだ。

 そしてこの彼、このマスターは、色々な、実に多彩な、多才な顔を持った男でもあったのである…

「ドライマティーニを…
 あと、ピクルスちょうだい…」

「おっ、今夜も飛ばしてくるね…」
 このマスターはなぜか、わたしが一杯目にドライマティーニを頼むと、そう言ってくるのだ。
 どうやら女性が一杯目からドライマティーニを頼むのは
『飛ばしているのだ…』
 と、云うのである。

 このマスターは実に謎多き人物であり、わたしはなぜかそこに惹かれてしまっていた。
 彼曰く、それがそもそもが
「天の邪鬼」
 なんだと云うのであるが…

「はい…どうぞ…」
 
「ありがとう…」

「今夜も疼くのかい…」
 マスターは、そう呟いてくる。

 そして、わたしは黙って頷く…

 
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