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雨の降る夜は傍にいて…
第3章 9月の雨(September Rain)
 19 マスター⑤

 別に小説家になろうなんて考えた事もなかったんだけど、たまたま投稿したら、たまたま新人賞に入賞してしまったんだよ…
 と、少し遠くを見ながら話してくれる。

「そして単行本化される事になり、それを急に意識し始めたら、ピタリと書けなくなってしまったんだ…」

「そうなんだ、そんな事あるんだぁ」

「うん、新人作家にはよくあるんだってさ…
 で、俺は小説はそれっきり書けなくなってしまった…」

 これが、このマスターの不思議な過去、多彩、多才な過去の一つ目の話しである…

 だがわたしはマスターのその言葉がきっかけで、このサイトでケータイ小説を書く事にしたのだ。
 そして、そうしてサイトで小説を、いや、小説もどきを書く様になってから、なんとなく急に心のストレスが軽くなったような気がしてきていたのである。

「確か、絵も得意って…」
 わたしは続けて訊いた。

「ああ、芸大出身なんでね…」
 するとマスターはサラッとそんな事を、云ったのだ。

「ええっ、げ、芸大出身って…」
 それはそれで、わたしには凄い事であった。

 わたしの憧れの芸大出身…

 わたしはバスケットで、とても勉強では入学できないような高偏差値の大学に入学し、そして卒業なのである。
 確かに、バスケットでの完全特待推薦入学は、その年度に二人だけという正々堂々と胸を張れる事なのではあるが、やはり、勉強で入学した人達には内心コンプレックスを感じていたのであった。

 そして、わたしは絵を描く事も好きであったから、もしもバスケットと出会っていなかったならばもしかしてそっちの美術系に進んだかもしれなかったのだ。

 芸大出身なのかぁ…

 でもとても芸大なんて進学できないわ…


 改めて、マスターの経歴には驚いてしまっていた。
 そして、不思議さも益々高まってきていたのである。

 バーの経営者…

 元、小説家…

 無名高校をシード校にまで高めた、元高校女子バスケットボール部の監督兼コーチ…

 そして芸大出身の芸術系…

 後はなんだ…

 どんな経歴が…

 どんな不思議な経歴があるんだろう…

 わたしは益々このマスター、大森豪という男に惹かれていくのを感じていたのである。
 
 その不思議な魅力で、わたしをガンの恐怖心から助けてくれた男に…

 心魅かれていたのだ…




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