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雨の降る夜は傍にいて…
第3章 9月の雨(September Rain)
 30 マスター⑯

 そんな彼の、マスターの、豪さんの、言葉、表情に、男としての、彼の生き様的なモノを感じ、わたしは更に、彼に心酔し、信頼し、愛を感じ始めてきていたのである。


 そして五月のゴールデンウィーク直後の五月雨の降る夜であった…

 わたしはそんな五月雨の疼きに、また、豪さんに抱かれ、そして彼の腕の中に抱かれている時であった。

「そういえばゆりさん、俺さぁ、来週から暫く留守にするからさぁ…」

 …何でも豪さんは実は山口県出身なんだそうである。
 大学生時代に亡くなった奥様と知り合い、そして都内で結婚生活を送った後に、この奥様の実家のあるこの土地に来たのだそうだ。
 それで、その山口県の実家の父親が二年程前に亡くなって遺産を相続したのだそうだが、現在まで放置しており、それの整理をしに行くと語ってきたのである。

「田舎だからさぁ、田畑、山、土地、結構相続物件が沢山あってさぁ…」
 放置し切れなくなってしまった…のだと、云うのだ。

「多分ねぇ、二、三カ月留守にするかなぁ…」

「ええっ、そんなに長いの…」

「うん、多分ね…」

「ええ、寂しいし、イヤだなぁ…」
 どうしよう…か、と、その時は本気で途方に暮れた。

「お店は…」

「うん、一応、三カ月分の前家賃払っておいた…」

「ええ、わたし、どうしよう…」
 そう本気で呟き、豪さんの胸に顔を埋める。

「嬉しいなぁ、ゆりさんにそんなぁ…あっ」

 わたしは胸に埋めながら、ゆっくりと下に潜っていき、あの大好きな豪さんの自分史上一番大きな、美しいカリの張ったチンポを唇に含んだのだ。

 わたしはすっかり、しゃぶキチ、になってしまっていたのだ…

「あっ、ゆ、ゆりさん…」
 そしてわたし達は、また、再び、愛し合ったのだ。

 そしてこの夜が、最後の夜となった…

 一ヶ月目…たまに電話をし、会話をした。
 『実はさ、工業団地誘致と、高速道路、そしてリニア新幹線絡みに絡んじゃってさぁ…』
 かなりの金額で売れると話していた。

 二カ月目…やはりたまに電話をし、会話を交わす。
『なんかさぁ、銀行が沢山押し寄せてきててさぁ、やれ貯金だの、仮想通貨だの、投資だのってさぁ…』
 でも、声も、会話のテンションも、普段通りの豪さんには変わりはなかった。

 そして三カ月目…








 
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