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雨の降る夜は傍にいて…
第3章 9月の雨(September Rain)
33 『Bar Wooods』(バーウーッズ)
ガチャ…
わたしは古びた木製のドアを開け、ゆっくりと中を覗く。
「あっ…」
正面に見える逆コの字型の、お客のいないカウンターの中に懐かしい顔が見えた。
「おっ、ようやく見つけてくれたか…」
懐かしい声が聞こえる。
「あっ、ご、豪さん…」
思わず目頭が熱くなるのを感じてしまう。
「久しぶりだね、ゆりさん…」
「ご、豪さん………」
わたしは嬉しいのと、懐かしいのとで、言葉を失くしていた。
ようやく見つけてくれたかって…
「い、いつから……」
「な、なんで……」
「い、今まで……」
この約三年間の疑問の言葉を、羅列してしまうのだが、最後までが続かない。
「まあ、座ってよ…」
「あっ、は、はい…」
「ドライマティーニでいいかな…」
そんな豪さんの言葉に、わたしは黙って頷いた、いや、言葉を発してしまうと涙がこぼれてしまうのだ…
悔しいから、豪さんの前では泣きたくはなかったのだ。
まず、失踪の理由が知りたい…
今までの事を訊きたい…
そして言い訳して欲しい…
「はい、どうぞ…」
豪さんはカクテルグラスに静かにミキシンググラスから、マティーニを注ぐ。
相変わらずの静かな微笑みを浮かべていた。
ああ、変わってはいないわ…
そしてわたしはカクテルグラスに沈んでいるオリーブを取り出し、囓る。
「おぉ、ゆりさん、変わってないなぁ…」
「そ、そっちこそ……」
その言葉でついに、堪えていた涙がこぼれ落ちてしまったのだ。
「ありゃ…」
豪さんは、わたしの涙を見て、そう笑う。
「もお……」
多分、このわたしの一言で、この三年間の思いが彼に伝わったのだ。
「ごめん……今から話すからさ……」
豪さんはそう呟き、入口のドアに鍵を掛けたのだ…
「ゆっくりと……ね…」
わたしと豪さんの二人の時間が、三年前に戻っていく…
外は、台風9号の余波の雨が降っていた。
わたしはそんな夜に、再び、豪さんと再会した、いや、ようやく見つけたのだ…
ガチャ…
わたしは古びた木製のドアを開け、ゆっくりと中を覗く。
「あっ…」
正面に見える逆コの字型の、お客のいないカウンターの中に懐かしい顔が見えた。
「おっ、ようやく見つけてくれたか…」
懐かしい声が聞こえる。
「あっ、ご、豪さん…」
思わず目頭が熱くなるのを感じてしまう。
「久しぶりだね、ゆりさん…」
「ご、豪さん………」
わたしは嬉しいのと、懐かしいのとで、言葉を失くしていた。
ようやく見つけてくれたかって…
「い、いつから……」
「な、なんで……」
「い、今まで……」
この約三年間の疑問の言葉を、羅列してしまうのだが、最後までが続かない。
「まあ、座ってよ…」
「あっ、は、はい…」
「ドライマティーニでいいかな…」
そんな豪さんの言葉に、わたしは黙って頷いた、いや、言葉を発してしまうと涙がこぼれてしまうのだ…
悔しいから、豪さんの前では泣きたくはなかったのだ。
まず、失踪の理由が知りたい…
今までの事を訊きたい…
そして言い訳して欲しい…
「はい、どうぞ…」
豪さんはカクテルグラスに静かにミキシンググラスから、マティーニを注ぐ。
相変わらずの静かな微笑みを浮かべていた。
ああ、変わってはいないわ…
そしてわたしはカクテルグラスに沈んでいるオリーブを取り出し、囓る。
「おぉ、ゆりさん、変わってないなぁ…」
「そ、そっちこそ……」
その言葉でついに、堪えていた涙がこぼれ落ちてしまったのだ。
「ありゃ…」
豪さんは、わたしの涙を見て、そう笑う。
「もお……」
多分、このわたしの一言で、この三年間の思いが彼に伝わったのだ。
「ごめん……今から話すからさ……」
豪さんはそう呟き、入口のドアに鍵を掛けたのだ…
「ゆっくりと……ね…」
わたしと豪さんの二人の時間が、三年前に戻っていく…
外は、台風9号の余波の雨が降っていた。
わたしはそんな夜に、再び、豪さんと再会した、いや、ようやく見つけたのだ…