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雨の降る夜は傍にいて…
第4章 台風12号MUIFA(ムイファ)
 22 彼の娘の存在感

 彼は色々な意味で、その3年間の付き合いの中でわたしに最も影響を与えた男でもあった…

 そして、大好きな、忘れられない男の一人でもあったのだ…


 まずは彼の娘、美香の存在である。

 彼女の特待入学と共に、その時代の県選抜選手のベストメンバー五人全員が入学するというカタチになったのである。
 わたしからの必死の理事長と校長への説得により、特例中の特例として、毎年二名限定のS級特待入学をその五人全員に適用したのであった。

 そしてその五人は入学直後から実力を発揮し、先輩選手ともうまく相乗効果が連鎖され、それからの約5年間は、わたしの指導歴としても、また、女子バスケットボール部の歴史としても、黄金時代を築き上げる事になったのである。

 バスケットボールはインターハイと、冬のウインターカップ、そして国体と、年間三回の全国大会が開催されるのだが、この彼、浩司の娘、美香の入学の年の夏から、インターハイ、ウインターカップ、国体と5年間連続のつまり15回連続全国大会出場という結果をもたらしてくれたのであった。

 そして、美香が高校三年生時には、インターハイベスト4、ウインターカップベスト4、国体ベスト4のオールベスト4という、我が高校でも過去最高の成績を治める事が出来たのと、わたし自身の監督としての価値観と評価が爆上がりしたのであるのだ。
 ひとえにコレは、この成績は全て、彼の娘美香の入学がきっかけの流れのおかげなのである…

 そして彼の娘美香は、今も現役の女子プロバスケットボールプレイヤーとして活躍している…

 こんな因縁が、彼、浩司とわたしの間にはあるのだ。

 そしてもちろんわたしは彼の娘美香にとっては永遠の恩師という存在なのである…

 不倫関係の清算が全てのこんないい流れを作り、残したのではあったのだが、わたしは本当に彼の事が好きであったし、本気で愛していた真っ最中の出来事でもあったのである。
 だから、彼の事は、娘美香の活躍と共に、恩師としての存在と共に、常に付いて回り、その関係は永遠に消える事がなく、忘れられない存在となっていたのであったのだ。

 だが、わたし自身が、父の死をきっかけに家業を継ぐ事になり、教師と監督を泣く泣く辞めたのである…






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