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雨の降る夜は傍にいて…
第4章 台風12号MUIFA(ムイファ)
 23 不意な再会

 だが、わたし自身が、父の死をきっかけに家業を継ぐ事になり、教師と監督を辞めた今、接点が少なくなってしまった。
 そして別れてから約9年間一度も彼とは逢った事も、いや、見掛けた事も、存在の噂さえも聞いた事がなかったのである。

 そんな中での突然の再会なのだ…

 だから不意な再会に、そしてまた、台風の余波の不安定な精神状態も影響してか、涙が出そうになったのだ。

「ゆりは、変わらないなぁ…」

「えっ、アナタだって全然変わってないみたい…」
 
 お互いに、あまりにも突然の、不意な再会なので言葉が続かないのであった。
 そしてどうやら彼は友人達と奥の席で飲んでいるらしい。

 たまたまトイレに行く途中に、わたしに気づいたそうである…

「じゃ、またな…」 
 彼はそう言って皆の席に戻った。


 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 本当に、不意な、突然の再会に、胸が激しく高鳴ってしまっていたのである。

「お知り合いなんですか…」
 と、美優ちゃんがお代わりのスパーリングワインを持ってきながらそう声を掛けてきた。

「うん、昔ね、ちょっと、娘さんの関係でね…」
 サラリと流してそう云ったのだ。

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 スパーリングワインの酔いもあった、そしてもちろん連続発生の台風の影響もあるのだろう…

 わたしの胸の騒めきは収まるどころか、更に激しく昂ぶってきていたのであった。

 ああ、10時までは保ちそうにもない…





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