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雨の降る夜は傍にいて…
第1章 台風の夜
 15 二人目の合格

 わたしはシャワーを浴びながらドキドキしていた。

 まさか、わたしのカクテル言葉の掛け合いに応えられる男がいたとは…

 カラダを清め、洗いながしながら、そう思い、そして感動すらしていたのである。

『またぁ、今夜もぉ、男漁りですかぁ…』
 彩ちゃんの昼間のそんな言葉が脳裏に浮かび、耳元に聞こえてくる。

 だが、実は、男漁りはしてはいなかったのである、いや、違うのだ、わたしのこの心に触れてくる男がいなかっただけなのである。
 だからほぼ、こんな大型低気圧による、大荒れの大雨の夜にこのホテルのバーには来るのだが、こうしたカウンターでのやり取りをして、ガッカリし、落胆し、最終的には一人で部屋に泊まるだけなのであった。
 そしてこんなやり取りをし、基準点を突破し、合格した男は過去には一人だけであり、今夜の彼は二人目なのである。

 それにわたしは決して肉欲的な意味で、男を求めていたのではないのである。
 もっと違った意味の、精神的な心の欲求からなのであった。
 だから、だから見た目だけの、低レベルな男は要らないのである、正に、言葉通りに
『知的な愛』
 を求めているのである。

 そしてその本質的な根源の想いは

『雨の降る夜は傍に居て欲しい…』
 この想いに尽きるのだ。
 肉欲的な欲求等は自慰行為でも十分に満たされるのである。

 こんな…

 大雨の…

 雨の降る夜は傍に居て…

 そしてこんな大型低気圧により、傷痕の疼きからの不安定になったわたしの自律神経の昂ぶりと、心の震えを鎮めて欲しい…

 ただ、それだけなのだ。

 そしてそんな事を想いながらシャワーを浴び終え、バスローブを纏う。

 そろそろ30分である…








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