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雨の降る夜は傍にいて…
第4章 台風12号MUIFA(ムイファ)
 25 9年振りの口吻

 わたしの心の中で9年間築いてきていた壁が一気に、完全に崩壊した。

「ねぇ…、抱いて…」

 わたしはそう呟いた…


「……………」

 偶然、このワインバー『バル エンヤ』の隣にはビジネスホテルが建っていた。
 そのままチェックインをし、エレベーターに乗るなり無言のままに抱き合い、キスをし、舌を貪り合う。

 お互いの9年間の貯めた熱い想いをこの口吻で流し込み、吸い合う…

「はぁ……あぁ…」
 わたしは感極まってしまい、言葉にならない喘ぎを漏らす。
 そして全身から力が抜け浩司にカラダを預けてしまう。
 エレベーターが部屋のフロアに到着してもそのまま唇を貪り合いながら、そしてわたしは彼に引きずられる様に部屋までたどり着きそのままベッドサイドに倒れていく。

 だが、わたし達は唇を離してはいない、お互いに激しく舌を吸い唾液を交わしていたのだ。

 そのキスはまるで9年間の空白を埋めるかの様な、お互いの想いの籠もった口吻であった…

「はぁ、ふうぅ、あっ、あぁぁ…」

「む……う……」

 わたしはこのキスでまるでイッてしまったかのように子宮が震え、喘ぎ、全身を身悶えしてしまったのだ。

「うっ、はっ、はあぁ…」
 そして窒息しそうな感覚になり、慌てて唇を離して夢中になって息を吸い、呼吸を荒げる。

「はぁ、はぁ、はぁ……ぁぁ…」

 ドキドキドキドキ…

 呼吸が苦しく、胸の高鳴りが激しく昂ぶってきていた。

 な、なんてキスなの…

 このキスのあまりの快感に戸惑ってしまう。
 そして既に下半身が、いや、アソコがすっかりと溢れる程に濡れそぼり、パンティからストッキングまでぐっしょりと濡らしているのを自覚したのだ。

 ああ、まるで漏らしたみたいだわ…

 股間はすっかり濡れそぼり、子宮が、アソコがズキズキと激しく疼いている。

 するとそんなわたしの状態を、まるで見透かしたかのように浩司が見つめていたのに気づいた。

「いや、そんなに見つめないでよ…」
 あのワインバーの店の外からの記憶が殆ど吹き飛んでしまったくらいにわたしは心を昂ぶらせていたのである。
 
 つまりはテンパってしまっていた…

 そんな心境に、浩司の、9年振りの浩司の目は熱過ぎるのである。

 ドキドキドキドキドキドキ…

 胸が張り裂けそうである…



 

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