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雨の降る夜は傍にいて…
第4章 台風12号MUIFA(ムイファ)
 27 クリトリスの如くに

 ストッキングラブ…

 それは、わたしの当時の性の嗜好を、思考を、劇的に変え、衝撃を与えた快感である。

「あっ、んん…」
 すると不意に彼の唇が離れ、いきなりわたしの脚元に顔を寄せ、なんと、爪先を、ストッキングを穿いた爪先を舐めてきたのだ。

「あっ、イヤッ…」
 本当はイヤではなかったのだ。

 これは、当時、彼により植え付けられ、そう調教されたフェティシズムの愛撫のカタチであり、わたしに劇的に、快感をもたらしてくる、口唇の愛撫なのである…

 わたしのストッキングを穿いた爪先はクリトリス…
 そんなクリトリスの如くに快感の電流が全身に走り抜けていく。

 あの9年前に愛されていた時は、こうしたストッキング爪先をしゃぶられるだけで絶頂してしまった程であった…


「あっ、あうんっ」
 そんな浩司の爪先の突然の、いや、9年振りのストッキングラブな、ストッキングフェチの快感にわたしは激しく喘ぎ、身悶えをしてしまう。

「あっ、ああん、んん…」
 本当に久しぶりな、フェチな、ストッキングラブな快感であった。
 
 そもそもが、一日中穿いたストッキングの爪先等をしゃぶる愛撫の行為なんて、相当な、重度なストッキングフェチじゃなければしないのである。

 過去に彷徨い、抱かれてきた様々な男達の中にはストッキングフェチはいた事はある…が、誰一人としてこうして一日中穿いていたストッキングの爪先を嬉々とした表情で舐め、しゃぶる男はいなかった。

 だからこの愛撫は本当に9年振りの快感であったのだ。

 ああ、感じるぅ…

 堪らない…

「あっん、あふぅ、んんっ」 
 わたしは浩司にストッキングの爪先をしゃぶられながら、喘ぎ、身悶えをしていた。
 そして右脚の爪先をしゃぶりながら、左脚を愛おしむかのように撫でてくる。

「ああやっぱり、ゆりの脚は、ストッキングは堪らないなぁ…」

 ここで初めて、それまで無言であった浩司が言葉を呟いたのである。

「あんっ、んん…」
 わたしは感じ過ぎてしまっていてそんな彼の言葉には応えられないでいた。

「やっぱりこの脚だよ…
 この元アスリートの脚が堪らないんだ…」
 続けざまにそう呟きながら、爪先をしゃぶり、脚を愛でてくるのだ。

 わたしはすっかり感じ、蕩ける程に濡らしていた…




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