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雨の降る夜は傍にいて…
第5章 秋冷え…
 13 昔のバスケスタイル

 ま、いいか…

 わたし自身もこうして彩ちゃんに話すと、なんとなく心が軽くなる感じがしてきていたのである。


「でもぉ、お二人のぉ、初めての出会い、強烈ですねぇ」
 と、彩ちゃんは少しニヤリとしながら言ってきた。

「そ、そうかなぁ…」

 ま、否定は出来ない…

「社長はぁ、意外に大胆でぇ、強気でぇ、イケイケなところぉ、ありますもんねぇ…」

「えっ、そ、そうかなぁ…」
 これも一概には否定できなかった。
 て、いうか、彩ちゃんのわたしに対する観察眼に侮れない思いを感じる。

「昔の現役時のバスケスタイルみたいですよねぇ」

「そ、そうかなぁ…」
 彩ちゃんの鋭い観察眼に、その言葉しか返せなかった。

 昔のバスケスタイルか…

「でぇ、続きお願いしまぁす…」

「う、うん…」



 …わたし達は愛し合った後、そのまま気絶するかの様に寝落ちした。


「………はっ」
 
 いけないっ、寝過ごしたかっ…
 わたしは慌てて飛び起きる。
 そして立ち上がって、チラっと姿見の鏡に写った自分の姿を見て驚いたのだ。

 あ、なんて格好だ…

 そう、上半身は裸で、下半身はストッキングを穿いたままであったのだ、しかも、ストッキングの股間がビリビリに破けていたのである。

 そして一瞬にして、ついさっきの愛された快感の疼きが蘇ってきたのだ。
 
 そうだ、昨夜、ストッキングラブだ…

 そのストッキングラブという言葉、ワード、そして昨夜の愛撫に快感が、ズキズキと蘇り、子宮を疼かせてきたのである。
 ふと、ベッドを見ると、彼、大塚浩司が寝ていた。

『今日から俺の女だ…離さないから…』
 昨夜の言葉が脳裏に蘇ってくる。

 俺の女…

 お互いに一目惚れであった、だが、彼は妻子持ちであり、不倫の関係になってしまう。

『大丈夫、多分、俺が結婚してるなんて思えないから…』
 そう彼は軽く云ってきたのだ。

『えっ、どういう意味なの…』

『うん、俺はほぼ自由…
 殆ど家に帰らないし、いつでもゆり先生の好きな時に逢えると思うよ』
 ま、殆どお店に居るけどね…
 彼は、笑いながらそう云ってきた。

 その言葉通りであったのだ…

 彼は当時、ほぼ夜は、あのスポーツバーに居たのである。

 だからわたしの逢いたい夜には、いつでも逢えたのだ…

 


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