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雨の降る夜は傍にいて…
第5章 秋冷え…
 70 本当の本音

 わたしは心の中にずっと秘めていた本当の本音の想いを言葉に出したのだ…

「うん…
 俺はそう思っているならそれで十分なんじゃないかなって思うんだが…」
 彼は言いながら奥様を見て、そしてわたしを見てきた。

 ドキドキドキドキ…
 再びわたしの心が激しく昂ぶってきた。

 ああ、浩司のこの目に、なんか興奮しちゃう…

 背徳感なのか…

 それとも罪悪感なのか…

 いや、なんなんだろう、この昂ぶりは…

 わたしはこの彼の目を見つめながら考える。

 あっ、そうか…

 ワクワク感だ…

 これから起こるであろう未来の期待の想像、そして不惑な混乱と波乱…

 最愛の、不倫関係の愛する男の娘を預かる、指導する、共に高見を目指していく…
 それが波乱と混乱を招くのはわかりきっている事であり、つまりはカオス的な流れといえる。

 これにワクワクとした不惑な昂ぶりが起きない訳がないのだ…
 と、この時はこんな不純で、不謹慎な、非常識的な思いに昂ぶらせてしまったのであった。

 だが、それは本当に間抜けな考えといえたのである…

 彼、浩司の方がよっぽどまともであり、わたしが馬鹿過ぎであったのだ。 

 わたしはバスケット指導者の前に、高校教師でもあり、そして教育者なのである。

 もっと物事をよく考え、世間一般という常識を考えなくてはダメだったのだ…

 本当に馬鹿過ぎなのである。


「あっ、それに美紀谷先生にもう一つ報告があって…」

「えっ…」
 わたしは再びドキドキしてしまう。

「もしも、ウチの美香が先生の高校にお世話になるって決まったとしたら…」

 なんなんだろうか…

「今年の県選抜メンバーのベストメンバー5人全員が先生にお世話になりたいって、つまり、入学して、また美香と一緒にやりたいって言ってるんですよ…」

「ええっ…」
 わたしはその奥様の言葉に絶句をしてしまう。

 今年の県選抜メンバーは、ここ10年間で最強メンバーとの評価を得ていた。
 そして県選抜メンバーの全国大会である
『ジュニアオールスター大会』
 においてベスト4の成績を治めているのである。

 そのベストメンバー5人全員が、わたしの高校に入学したい、と、云う…

 これは、これからわたしの最強伝説の始まりでもあると、馬鹿なわたしでも解る事なのである…





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