パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第5章 秋冷え…

　74　興奮と期待

「安藤先生、ありがとうございます、わたし頑張ってみます…
　失礼します…」
　わたしは電話を片手に頭を下げて、通話を終えた。

『迷うな、決断しろ…』
　その言葉通り決断をする。

　そして大方の会話を聞いていたであろう、大塚浩司ご夫妻も目を輝かせてわたしを見ていた。

　いや、浩司の目は、また、奥様の輝きの色とはちょっと違う感じがする…

　だが、この時のわたしは興奮していて深く考えはしなかったのであった。


「じゃあ、美紀谷先生、御納得頂けたんですね」
　奥様がそう言ってくる。

「あ、はい、よろしくお願いします」
　わたしは即答し、頭を下げた。

「いいえ、こちらこそよろしくお願いします、是非とも美香の事も、他のメンバーもよろしくお願いしますです…」
　と、奥様は深々と頭を下げてきたのだ。

「はい…」
　
　ドキドキドキドキ…

　ワクワクワクワク…

　興奮の昂ぶりと、これからの期待感で胸が張り裂けそうなくらいに高鳴ってきていた。

　なんという事であろうか…

　県内の有力中学三年生をほぼ独占できるのだ…

　そしてその新戦力と、既存の在校生のメンバーの戦力が合わさって相乗効果を生み出したならは…

　全国ベスト４も夢じゃない…

　わたしの目には、来春からの明るい道が微かに見えてきていた。

　だが、この時のわたしには、そんなバスケット関連の興奮により、その他の事、つまりはこれから先の浩司との
『不倫』関係の事などは考える事は出来なかったのである、いや、興奮により考えられなかったといえたのだ。

　でも、この時、目の前にいた浩司には既に色々な想定が済んでいて、落胆というよりは覚悟を決めていた…
　そうであった、と、後にわたしに云ったのである。

　とにかくわたしはその当時はまだ若く、周りの事より自分の事しか考えられず、浅はかで、馬鹿であったのだ…

　だが、この話しの流れでの美香ちゃんの入学を断るという選択肢は１パーセントもあり得なく、そう、運命であったのである。

　そう、運命だったのだ…