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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 14 その言葉…

「なぁ…ゆり……」
 浩司はタバコの煙を吐き、わたしを見つめて名前を呼んだ。

 えっ、な、なに…

 ザワザワザワザワ…

 そんな彼の雰囲気に、嫌な予感しかしない。

「え、あ、そ、そうだ、シーツを交換しないと…
 さっき濡れたままだったから、湿っちゃってるし…」
 わたしは慌ててそう言いながら立ち上がる。

「おい、ゆり…」

「えっ…」
 彼は、そんなモロに動揺の様相を見せるわたしの手を握り、ベッドへと座らせてきたのだ。

「え、な、なに?…」
 そこでわたしは、初めて違和感を口にした。

「…………うん…」
 すると彼はわたしの目を見つめてくる。

 ザワザワザワザワ…

 ドキドキドキドキ…

 騒めきが、不安な高鳴りへと変わっていく。

「俺達……………よう…」

 その言葉はわたしには聞こえなかった。

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 胸の高鳴りが、外に聞こえてしまうのではないのか…と、いう位に高まり、周りの音が消えていく。

 えっ、な、なに、今、なんて?…

 なんて、言ったの?…

 浩司の目が哀しい色になっていた。

「えっ…」

「………俺達さ…別れよう………」

 えっ…

 別れよう?…

 別れ……よう……?

 わ、か、れ、る…

「……終わり……にしよう……」 

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 終わりに…って…

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

「えっ……」

 サーっ、と血の気が引いていく音が聞こえた、そしてカラダから力が抜けていく。

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 胸の高鳴りしか聞こえなくなってきていた。

 え、別れる…

 終わりにしよう…って、なに?

 彼の握る手に力が入る。

 えっ、わたしは今、別れを告げられているのか?…

 その握られた手の力によって、意識が少し戻ってきた。

「………えっ、な、なんで?…」

 そう返すのが、精一杯であった…

 そして、なぜか、頬に涙が伝っていくのを感じていた。

 わたしは…

 わたしは涙をこぼしているのか…

 彼の言葉の意味が分かっているのか?…






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