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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 23 存在感と価値観

 12月26日…
 残念ながらウインターカップは3回戦の壁は破れなかった。
 悔しいかな、あとワンゴールの差が遠かったのである。
 しかし来年度の新チームへの課題と、手応えを確実に掴んだ結果といえた。

 そして例年通り、そのウインターカップで敗れた数校及び関東近県の強豪高校数校による、わたしの母校である大学が主催する合宿兼練習試合に29日まで参加した。
 その合宿には勿論来春入学決定の浩司の娘である大塚美香を中心とした新メンバー5人も参加をしたのだ。
 そしてその合宿に於いてアンダー15アジア大会MVPとなった大塚美香が一番の注目株となり、その期待通りの動きをして入学前から一躍名前を売ったのである。


「本当に『みっき』、昔のアナタを見ているようねぇ…」
 わたしの大学バスケット時代の恩師である橋本先生が大塚美香のプレイスタイルを見て、そう言ってきた。

 わたしの現役時代の関係者の殆どは皆、わたしを美紀谷からの『みっき』と呼ぶ…

 残念ながらわたしは大学3年の春先で再起不能の怪我をして、この大学バスケットチームを退部したのではあるのだが、この橋本先生からは高校時代から常に目を掛けられ、声を掛けられてきていたので橋本先生にも大塚美香の良さが手に取る様にわかるのである。

「来年からは、みっきの天下になるかもねぇ…」
 と、まで、そう先生にも言われる位にこの新メンバー達プラス在校生の力は凄かったのである。

 これも全ては、浩司の娘である大塚美香の存在の相乗効果といえるのだ…

 だがわたしには、それがものすごく嬉しい反面、内心は複雑な想いも比例して高まっていたのであった。
 
 この大塚美香は既にわたしの宝であり、もはや手放すという選択肢はない…

 だが、しかし、その対価として浩司を失うのである…

 とても同じレベルの意味で比べる事はあまりにも馬鹿げているのではあるのだが、わたしの中での価値観は同等、いや、もしかしたら浩司の存在感の方が、それ以上の比重を占めている様にも感じていたのだ。

 だが…

 答えは、自ずと朗かであり、いや、比べる事自体があり得ないのではある……の、だが…

 12月29日という終わりの日に進むにつれて、心の虚無感が広がっていくのであった。

 終わりへのカウントダウンが刻一刻と刻まれていく…




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