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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 36 別れの夜 ⑬

 いや、そうだ…

 浩司もわたしと同じ想いなんだ…

 そうに違いない…

 わたしはそう想い込み、いや、想い込む事にした。
 そして浩司に抱き締められ、寄り掛かりながら、自らの手を彼の股間へ運んでいく。

 ああ、まだ勃ってる…

 浩司はわたしの手を感じたらしく、小さく、ビクッとする。
 そしてわたしは手を動かし、ズボンの上から股間の膨らみを握っていく。

 しゃぶりたい…

 生理で出来ないならば…

 別れを伸ばせないならば…

 せめて、この怒張をしゃぶりたい…

 そして微かな想いが、心の隅の、底深くで湧いてきていた。

 しゃぶれば…

 ヤリたくなって…

 別れるのを伸ばしてくれる…かも…

 わたしはチャックを下ろそうと、ズボンをまさぐる。

 あっ、えっ…

 なんと、浩司の手が股間をまさぐるわたしの手を抑えてきたのだ。
 わたしは思わず顔を上げ、彼の顔を見る。 

 あっ…


「……………」
 浩司は哀しみの色を目に浮かべ、そして黙って首を振ってきたのだ。

 え…

 あ…

 わたしはそんな彼の目を見て、一瞬にして、自分のやましい想いの考えに恥ずかしくなってしまう。

 そうなんだ…

 そうなのだ…

 浩司は…

 浩司は、わたし以上に苦しんで…

 苦しんで…

 苦しみぬいて…

 今夜、ここに…

 来たんだ…

 苦しみは、わたし以上…

 いや、わたしの比では無い…筈なのだ。





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