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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 44 弊害…

 それらをなんとか自分で解消しようとお酒に頼り、そして自らで慰める…
 という手段を講じたのであるが、それは焼け石に水であったのだ。
 解消も、治まりも、何も出来なかったのである。

 お酒を飲んで酔えば酔う程、心が乱れ、淫れてしまう…

 自らで慰めれば慰める程、更に疼きが昂ぶり、高まり、苦悶してしまう…

 自分一人ではどうにも治め、押さえ、抑え切れなく、心とカラダの疼き、昂ぶり、高まりに日々悶々としていたのだ。

 恥ずかしい話しではあるが、通販でいわゆる大人のおもちゃと云われるモノ、つまりバイブやローター等を買い、それを使用してもみた。
 だが、ある程度の快感は得られるのではあるのだが、絶頂感には至らないのである。
 ある程度の高まりまでは逝くのではあるが、感じれば感じる程に、高まる毎に、そのバイブの無機質さが感じられてしまい、最終的には昂ぶりながらもなぜか心だけが醒めてしまうのだ。
 そしてイケないのである。

 浩司と付き合いをしていた時にもちろんモヤモヤとしたり、当初は奥様の存在や娘の存在感を意識して悶々としてしまい、その想いに苦悩したり苦悶したりした時期があった、そしてその頃はまだ『不倫』という事にも心苦しみ、たまに自慰行為をしたりしていたのであるが、その当時はすんなりと絶頂感を迎える事が出来ていたのだ。
 たから、自慰行為でイケない訳ではなく、やはり浩司という存在感の空虚な虚無感のせいでイケなかったといえたのである。

 だが、それには本当に苦しかった。
 バスケット指導の好成績に比例して、興奮、昂ぶり、高ぶり、疼き等が起きるのであり、それを今までは浩司に抱かれ、愛されての絶頂感により解消し、上手く消化出来て、次へ、明日へと上手く活かしていたのであるが、それが全く出来なくなったのである。

 特に試合、大会等で快勝すればする程にその症状が酷くなり、夜が眠れなくなってしまったのであった。
 そして勿論、我がチームは最強の階段をますます、順調に、順当に登り始めており、それに比例して寝不足気味な体調になっていったのである。

 浩司という存在感の喪失感と虚無感の弊害といえる寝不足、神経の昂ぶり等は本当に辛かった…




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