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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 46 卑下する想い

 出会いサイトで男と待ち合わせの約束をした…

 の…だが………



 わたしはその待ち合わせ場所には行かなかった…

 
 いや…

 行けなかった…


 怖くて行けなかったのだ…


 そしてそのまま踵を返し、帰りの電車に逃げる様に乗った。
 出会いサイトであるから、もちろん本名も、身分も、顔も、そしてメアドも仮のメアドにしている、だが、約束をスッポかし、仮メアドも速攻に解除したから何の心配も無いのであるが…
 どこかでその相手に見られている様な錯覚の恐怖心が湧き起こってしまい、怖くて堪らなくなってしまっていた。

 逃げる様に駅に飛び込み、急いで目の前の電車に飛び乗ったから在来線であった。
 そしてわたしはシートに座り、無意識に隠れる様に俯き、己の、自分の愚かさ、間抜けさ、馬鹿さ、浅はかさにすっかり落ち込んでしまう。

 出会いサイトなんて…

 なんて…

 なんて愚かで馬鹿なんだ…

 そんな事を思い付いてしまう自分の性の、性癖の、欲情の愚かさに呆れてしまっていた。

 なり振り構えない己の精神構造に情けなくて、涙が溢れてきてしまっていた。
 俯きながらボロボロと涙を溢し、そしてとうとう堪えきれずに、嗚咽まで漏らしてしまったのだ。

 電車内でわたしの周りにいた乗客達は、そんな俯き、涙を溢し、嗚咽している1人の女に驚いた事であろう…

 だが、それを想像すると更に己の、自分の間抜けさ、馬鹿さ、浅はかさに嫌気が増し、ますます涙が、嗚咽が止まらなくなっていた。
 すっかり自分を卑下する情けない思いに覆われてしまっていたのである。

 逆に在来線に乗って良かったかもしれなかった…

 涙と嗚咽は約30分位の間は止まらなく、ようやく気持ちが落ち着きを取り戻した頃には通勤客の半分以上が途中で下車をし、電車内はすっかりとガラガラに空いていた。

 そしてなんとか冷静に考えられる状態に戻った頃、電車はちょうど実家のある駅の辺りに差し掛かった所であった。


 ああ、そうだ…

 実家に帰ろう…

 そう思った途端、父親、母親、妹の3人の顔が浮かんできたのである。


 


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