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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 47 家族の愛

「ただいま…」
「あらぁ、突然どうしたのぉ…」
 玄関に入ると母親が迎えてそう話し掛けてきたのだが…
「うん、ちょっとね」
 泣き過ぎてボロボロのわたしの顔を見て母親は黙って微笑んだ。

「あ、ちょうどお風呂沸いてるけど…」
 そしてそう言ってくれた。

 その時つくづく実家は、母親はいいなぁ…
 と、心からそう思ったのである。

 そしてわたしは母親の言葉に甘え、そのまま晩酌をしている父親の顔も見ずにお風呂へ直行したのだ。
 いや、こんな泣き腫らした顔を父親にはとても見せられなかったのである。
 そしてお風呂に入り、浴槽にゆっくりと浸かりながら母親、父親の愛情を思い返していく。

 大学3年の春先にバスケットプレイヤーとしては再起不能のケガをし、自暴自棄に陥った時、両親は本当に暖かく見守ってくれた…

 振り返ると我が家族は、妹を含めて小学校3年生から始めたわたしのバスケットを中心に動き、そしてそんなわたしの活躍に約10年間一喜一憂してきていたのだ…

 そんな中での再起不能のケガだった…

 だが、わたしはこの両親の暖かいバックアップのお陰により、ケガの傷心から立ち直る事が出来たと心から思っている。
 そして現在の指導者となった時に本当に喜んでくれたあの時の両親の笑顔は忘れられなく、常に心の中に存在しているのだ。
 
 ああ、実家に帰ってきて本当に良かったかもしれない…

 電車内での自分を卑下した情けない想いが、ゆっくりと蕩けていく様に感じられていた。

 そのくらい、あれ程卑下し、揺れ動いた心の傷心がゆっくりと穏やかになってきているのを実感できていたのである。

 ああ、そうか…

 その時に、わたしは思いついたのだ。

 そうか…

 そうだ…

 これからは…

 こんな想いに揺れた時は…

 実家に帰れば良いのかもしれない…

 そしてゆっくりとこうしてお風呂に浸かれば、興奮と昂ぶりも解れ、氷解するかもしれない…

 浩司の思い出の余韻漂うあのアパートの部屋に、1人で居るからいけないのかも…

 そして家族、つまりは最愛なる父親と母親とバスケの試合の話しや、いや、それだけでもなく、何でも無い、他愛ない話しでも良いのだ、和やかに会話を交わせば自律神経の不安定な高ぶりや、カラダの昂ぶり、疼きから回避、解消できるかもしれない…




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