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雨の降る夜は傍にいて…
第2章 春雷
 17 解消の矛先

 当時の兄貴にとってのゆり姉ちゃん的な存在が無くてはならない重要性があり、必要なのであった…
 その存在感の大きさ、必要性は、より兄貴に近づき、乗り越えた今だからこそ、よく分かってきていたのである。

 いや、必要なのであった…
 それは性のエネルギーの爆発をする矛先、相手が必要、いや、欲しい、欲しくて堪らないのである。

 どんなに練習で疲れていても…

 どんなに勉強で眠気が襲ってきても…

 ムラムラ、モヤモヤ、ウズウズとした想いが晴れない、解消できないのである。
 そしてそれはあの7年前の兄貴とゆり姉ちゃんとの秘密の逢瀬を知っていたからこそに脳裏に浮かび、そして余計に比較してしまい、切望し、渇望してしまう青春のエネルギーの昂ぶりの想いと、まだ解消できていない、実現できていない、唯一乗り越えられていない、というコンプレックスなのだと思われるのであったのだ。

 完全に当時の兄貴を乗り越える為には、この持て余しているエネルギーを解消する為にも、当時のゆり姉ちゃん的な存在が必要であり、欲しいのであり、切望の想いないのである…

 だが、そんな兄貴にとっての当時のゆり姉ちゃん的に匹敵する存在が、今の俺の周りにはいない、皆無なのであった。
 
 


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