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雨の降る夜は傍にいて…
第3章 9月の雨(September Rain)
5 あまのじゃく
だからわたしはこんな雨の夜に、決まって巷を彷徨うのである…
『まるでキミはあまのじゃくのようだな…』
ついこの前に、三年ぶりに再会したある男がベッドの上でそうわたしに呟いてきた…
『えっ、あまのじゃく、それって何?…』
『うん、まぁ、簡単にいえば…
あえて人と違う意見を言ったり、本心とは裏腹な態度を取ったりする人…
ま、昔の妖怪なんだが…』
『ええ、簡単に云ったらひねくれもの…
って事なのかなぁ…』
『うむ、まあ、そんなところかな、ふふ…』
そう呟きながら、彼は、笑った。
『え、ひどぉい、何笑ってんのよぉ…』
『いや、あまのじゃくは、天の邪鬼って書くんだが…』
『えぇ、鬼が入ってんじゃない…』
『うむ…ふふ…』
『え、なによぉ…』
『いや、キミ、ゆりの場合は…そう…
雨の邪鬼かなってさぁ…』
『え、雨の邪鬼……』
『だってこんな雨の夜にしか、キミは、ゆりは、露われないじゃないか…だから…』
『だから…雨の邪鬼、あまのじゃく…か』
『ああ、言い得て妙だな…』
『もお、何、自画自賛してるのよぉ』
『ま、そんな怒るなよ、ゆりさんの場合は、雨の邪気にしておくさ…』
『鬼の文字が消えただけじゃない…もお、豪さんたらぁ…』
『天の邪鬼は鬼だが、雨の邪気は妖精にしておくよ…
雨の降る夜にしか露われない妖精ってことにさ…』
そう彼は云ってきたのである。
雨の降る夜に露われる妖精…
あまのじゃく…
ひねくれものの『雨の邪気』と…
確かにそうなのかもしれない…
あれから約11年か…
わたしは雨の降る夜に巷を彷徨い、男を漁る、妖怪、いや、妖精、『雨の邪気』なのだ…
特にこの9月の雨、秋の雨の長雨の夜に多く出没するのである…
だからわたしはこんな雨の夜に、決まって巷を彷徨うのである…
『まるでキミはあまのじゃくのようだな…』
ついこの前に、三年ぶりに再会したある男がベッドの上でそうわたしに呟いてきた…
『えっ、あまのじゃく、それって何?…』
『うん、まぁ、簡単にいえば…
あえて人と違う意見を言ったり、本心とは裏腹な態度を取ったりする人…
ま、昔の妖怪なんだが…』
『ええ、簡単に云ったらひねくれもの…
って事なのかなぁ…』
『うむ、まあ、そんなところかな、ふふ…』
そう呟きながら、彼は、笑った。
『え、ひどぉい、何笑ってんのよぉ…』
『いや、あまのじゃくは、天の邪鬼って書くんだが…』
『えぇ、鬼が入ってんじゃない…』
『うむ…ふふ…』
『え、なによぉ…』
『いや、キミ、ゆりの場合は…そう…
雨の邪鬼かなってさぁ…』
『え、雨の邪鬼……』
『だってこんな雨の夜にしか、キミは、ゆりは、露われないじゃないか…だから…』
『だから…雨の邪鬼、あまのじゃく…か』
『ああ、言い得て妙だな…』
『もお、何、自画自賛してるのよぉ』
『ま、そんな怒るなよ、ゆりさんの場合は、雨の邪気にしておくさ…』
『鬼の文字が消えただけじゃない…もお、豪さんたらぁ…』
『天の邪鬼は鬼だが、雨の邪気は妖精にしておくよ…
雨の降る夜にしか露われない妖精ってことにさ…』
そう彼は云ってきたのである。
雨の降る夜に露われる妖精…
あまのじゃく…
ひねくれものの『雨の邪気』と…
確かにそうなのかもしれない…
あれから約11年か…
わたしは雨の降る夜に巷を彷徨い、男を漁る、妖怪、いや、妖精、『雨の邪気』なのだ…
特にこの9月の雨、秋の雨の長雨の夜に多く出没するのである…