この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
雨の降る夜は傍にいて…
第3章 9月の雨(September Rain)
 5 あまのじゃく

 だからわたしはこんな雨の夜に、決まって巷を彷徨うのである…


『まるでキミはあまのじゃくのようだな…』

 ついこの前に、三年ぶりに再会したある男がベッドの上でそうわたしに呟いてきた…

『えっ、あまのじゃく、それって何?…』

『うん、まぁ、簡単にいえば…
 あえて人と違う意見を言ったり、本心とは裏腹な態度を取ったりする人…
     ま、昔の妖怪なんだが…』

『ええ、簡単に云ったらひねくれもの…
  って事なのかなぁ…』

『うむ、まあ、そんなところかな、ふふ…』
 そう呟きながら、彼は、笑った。

『え、ひどぉい、何笑ってんのよぉ…』

『いや、あまのじゃくは、天の邪鬼って書くんだが…』

『えぇ、鬼が入ってんじゃない…』

『うむ…ふふ…』

『え、なによぉ…』

『いや、キミ、ゆりの場合は…そう…
 雨の邪鬼かなってさぁ…』

『え、雨の邪鬼……』

『だってこんな雨の夜にしか、キミは、ゆりは、露われないじゃないか…だから…』

『だから…雨の邪鬼、あまのじゃく…か』

『ああ、言い得て妙だな…』

『もお、何、自画自賛してるのよぉ』

『ま、そんな怒るなよ、ゆりさんの場合は、雨の邪気にしておくさ…』

『鬼の文字が消えただけじゃない…もお、豪さんたらぁ…』

『天の邪鬼は鬼だが、雨の邪気は妖精にしておくよ…
 雨の降る夜にしか露われない妖精ってことにさ…』

 そう彼は云ってきたのである。

 雨の降る夜に露われる妖精…

 あまのじゃく…

 ひねくれものの『雨の邪気』と…

 確かにそうなのかもしれない…

 あれから約11年か…

 わたしは雨の降る夜に巷を彷徨い、男を漁る、妖怪、いや、妖精、『雨の邪気』なのだ…

 特にこの9月の雨、秋の雨の長雨の夜に多く出没するのである…




/318ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ