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甘い蜜は今日もどこかで
第5章 【もし間に合うのなら】





「ごめんね、思ったことはすぐ口にしちゃうから困るよね?でも照れてるつーちゃん可愛過ぎて俺も困ってんの、ていうかプロにしてもらったら余計可愛くなるね、セットしてくれてありがとうね」とヘアメイクさんにも言葉を掛けてメロメロにしている。





仕上がった私にご満悦のようで終始楽曲のかかったスタジオへ移動した。
スタッフさんたちに温かく出迎えられ、顔の広いDAiKIさんは和気あいあいとした雰囲気作りの名人とも言える。
格好良いところとお茶目なところのギャップがバランス取れてて人の心にすぐ浸透していく。
人気の理由も納得する。




スタジオの中央には部屋のセットが。
流石、ワンルームマンションそのものを再現している。
念入りに打ち合わせの後、本番撮り。




台本はお互いに全て頭に入ってるから流れだけを確認し合うけど、リハーサルの時点から本意気が伝わってくるので、ここでキス…となればギリギリまで顔を近付けてくる。
カメラアングルをチェックしているんだとわかっていても撮影自体不慣れな私は内心バックバク。
それでも何でもない顔はしてるけど。




「それでは本番行きまーす」と曲も最大ボリュームになり2人の甘い時間が再現される。
顔は撮らないから、ファンやMVを見た人たちからは幻の恋人…とでも映るのかな。
撮らないといっても“キス”がメインだから口元は映っちゃうけどね。




上手く後頭部だったり横顔の見えるスレスレだったり部屋の何かで隠して撮ってたり。
カメラワークはプロに任せて演技に集中する。




あぁ、こういうの、ジロウとしたかったな…って思うことばっかだよ。
だから、DAiKIさんには悪いけどジロウだと思って演技してる。
その方が自然と笑えるから。
愛おしい視線だってすぐに出来ちゃうんだよ。




ケーキ食べさせ合いっこしてイチャついて、イチゴを挟んだ唇に半分かじってキスをする。
私がそのイチゴを飲み込むところまで撮るんだって。
撮ったらちょっと激しめのキスシーン。
歌詞に合わせて色んなパターンのキスシーンを撮っていく。




スタッフが息を呑むような場面もいくつかあっただろう。
DAiKIさんが本気でぶつかってくるから私もそれに応えるだけで。
リハーサルからその流れできたから。
もうまるで、2人だけの世界を創り上げていく感じ。






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