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甘い蜜は今日もどこかで
第7章 【愛したい守りたい】
「シラフですか?酔いが冷めたと思ってお返事しますね、さっきも言いましたけど私は副社長とお付き合いはしません、これからもずっと、秘書である以上は精一杯努めさせて頂きます、その垣根を越える事は今後一切ありません」
そう言うと、ジロウに回していた腕を戻した。
一人で立って服を整えている。
「ごめんな、もっとちゃんとしたところで、もっと格好良くプロポーズ決めたかったのにこんな形で……まぁ、フラれるからどっちでも良いのか、ハハハ、俺ダッサ……」
「副社長……」
「大丈夫、あんな量で酔い潰れる訳ないだろ、一人で戻れるよ……キミも悪かった、ていうか現れるの早過ぎだよ、来てるんだろうなって思ってたけど……俺が触れたらすぐ止めに入るんだもんな」
「ガードマンでもあるので」
2人が見つめ合ってるなんて光景は居心地が悪い。
フッと笑った後に「彼なんでしょ?忘れられない大切な人って」と暴露され赤面する。
「あ〜負けた負けた!彼が現れた時の藤堂さんの顔、俺、当分忘れられないわ、ハハハ!」
一体、どんな顔をしてたのでしょう?
ジロウが来た事に驚いたのとホッとしたのと焦ったのと。
どの瞬間見られても即バレしちゃうほど顔に出てたんだな。
「まぁ、契約期間中は宜しく頼むよ、藤堂さん」
「はい、勿論です」
そして副社長は一歩近付いてジロウの元へ。
「中途半端な気持ちで彼女に告白した訳じゃない事だけは理解して欲しい、本気で好きになった、ダメだとわかりながら規定を犯した事に関しては悪かった、上に報告するならしてくれ、契約不履行ならそれを重く受け止めるよ」
「彼女はそんな事を望んではいません、最後まで秘書に徹したいと思っているはずです、僕はそれを壊す気にはなりません、ですが、今後もし今と同じような行為を彼女にした場合、話は別です」
男同士の話に心中は穏やかではない。
喧嘩しないで……するはずないだろうけどハラハラしてしまう。
「でもさ、そんなすぐに諦められる訳ないだろう?だから頑張って諦められるように少しの時間をくれ……結婚考えた相手なんだからさ」
少し駄々をこねる子供みたいな口調。
「わかりました」ってわかったんかい!
そう言うジロウが今度は私の肩に手を置いた。