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甘い蜜は今日もどこかで
第7章 【愛したい守りたい】
「でも椿さん、僕と一緒に居るんでこれからもどんどん綺麗になっていきますよ?身も心も潤って最上級に良い女になると思いますので諦めきれる保証は出来ませんが、僕が一生かけて椿さんを幸せにするので何年かかるかわからないですけどいつかは諦めてくださいね」
びっくりした。
正直、焦る。
ジロウがこんな、クライアント相手に意見するなんて初めてだし、もってのほかだ。
副社長、めっちゃ不貞腐れてる。
「何だよ!もっとダサい男で居ろよ!」
「出しゃばってすみません、今後とも藤堂椿を宜しくお願い致します」
「ふん、言われなくてもこっちがお願いするよ!頼むから……藤堂さん貸して……必要なんだ」
ちょっと足元がおぼつかない副社長は今度はジロウに抱きついている。
「わかりましたから……大丈夫ですか」って再び支えながら歩き出す。
結局、部屋までお送りした。
何か、デジャブ。
前にもあったよね、こんな事。
副社長の家まで運んだ時だ。
「お水、置いておきますね、明日は8時に部屋までお迎えに上がります、戻りますね、お疲れさまでした」
大の字になってベットに寝る姿に、いつも通りネクタイは外し、ベルトも緩め、掛け布団を被せてメモを残す。
「椿………行くな……」
はっきりとした寝言に驚くも、ジロウが私の手を引く。
「大丈夫、寝てるよ、行こう」
「うん」
寝顔は少し幼くなる。
口を開けて寝息を立てて。
明かりを落とし、部屋を出た。
「ジロウ、部屋取ってるの?」と聞いた瞬間に唇を塞いでくるのは想定内だった。
廊下なのに。
誰かに見られたらって危機感を見失うほど触れたかったんだと思う。
「今日取った部屋には泊めさせないよ」
「え…?」
グイと手を引かれ連れて行かれる。
痛いくらい引っ張られて、きっともう、いっぱいいっぱいなんだ。
別の部屋に入れられて、ドアの前ですぐにまた唇塞がれてスーツのジャケットも脱がしてくる。
え?え?余裕ないジロウ、ちょっと良い。
そうさせたのは私だけど、怒って、もっと。
何フラフラしてんだよって激しく抱いて。
「キスしたの?何で?いつ?自覚してる?ねぇ、椿って呼ばせてんなよ」