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甘い蜜は今日もどこかで
第8章 【ずっといつまでも】
火傷したところから膿みたいなものが出てて、看護師曰くそこから栄養が出てるからカロリーを取って栄養補給しないとダメなんだって。
ご飯も高熱の為かあまり取れてないみたいで。
上半身起こすだけでもかなりの体力が要る。
食べる頃には疲れ切っていた。
頑張って食べても1品につき、ひと口ふた口くらい。
凄く辛そうだ。
両腕、背中がやっぱり一番痛いらしい。
包帯にまで膿が滲み出ている。
顔も赤くて目も虚ろだ。
会話もフワフワしていてたまに噛み合わない。
カロリー不足、水分不足で点滴は増える。
ただ傍に居てあげる事しか何も出来なくてこれほど自分が不甲斐ないと感じた事はないくらい。
また新たな情報が入ってきて、昨日会ったお姉さんは看護師をしているらしいということ。
“うちの病院でもこれくらいの火傷患者入ってくるけど退院する頃にはだいぶマシになってて皮膚も綺麗に治る人がほとんどだよ”と言っていたみたい。
それを聞いてやっぱり泣いてしまった。
良かった……看護師のお姉さんが言うなら間違いないよね。
少しだけ2人きりにしてもらえた。
「こんな事になって……本当に治るのかな」
珍しく弱音を吐くジロウに咄嗟に喝を入れていた。
「大丈夫、治るよ!弱音吐いたら怒るからね?」
「うん、頑張る………椿が居てくれて本当良かった」
そう言われてまた目頭が熱くなる。
「私もジロウが居てくれて良かった」って心底思ってるよ。
もうお願いだから危ない真似しないで。
生きてくれてるからこそ言える事ばかりだよ。
泣いてる私に触れられないのがもどかしいって。
こうして会いに来てくれたのにあまり喋れないのも悪いなって思わなくて良いから。
痛々しい手も握れない。
握ると痛そうだから。
機械に繋がれて点滴の針も数本。
息してるだけで辛そうな表情。
皮膚移植は避けれないらしい。
一般病棟に移るのはもう少し先。
目の前で泣いたらジロウが悲しくなるよね。
頑張って堪えてるのに、視界がぼやけてく。
「ジロウ……ジロウ……っ」
「椿………」
私の勝手な独りよがりだけど、何も答えなくて良いからそのままで聴いていて欲しい。
「ジロウ……お願いがあるんだけど」
「……うん」