この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘い蜜は今日もどこかで
第8章 【ずっといつまでも】
こんな時に言うのは間違ってるのかも知れない。
でも、伝えられずには居られなくて。
溢れて仕方ない想いを言わせてください。
「ジロウ、これから辛い事もあるかも知れないけど一緒に……生きていこうね?ずっと傍に居させて?ジロウを失いたくない」
言いながら大粒の涙が零れ落ちていく。
真っ直ぐこっちを見て聴いてくれている。
だから、私から言うね?
「今はこんなだけど、頑張って治して、リハビリして、元気になったら私と結婚してください」
私ね、これからは堂々と「身内です」って言いたい。
お願いだから結婚して。
私の旦那さんになって。
家族になりたいの。
ジロウじゃなきゃダメなの。
もう離れたくない。
感極まっての逆プロポーズ。
こんなに人の為に泣いて、温かい気持ちになれる事がこの先絶対、ジロウ以外居ないの、確信してる。
ジロウに出逢えた事、凄く感謝してるんだよ。
「結婚……かぁ、結婚したいな」
ジロウもぐったりしながら聴いてくれて噛み締めるように答えてくれた。
嫌だって言っても勝手に一緒に居るから。
最後まで添い遂げさせて?
どんなジロウでも、生きてさえくれてればそれだけで良い。
私の傍から離れないで。
その日から毎日、病院へ通う日が続いた。
面会時間は19時まで。
平日は秘書を熟しながら定時と共に病院へ向かう。
ほんの数分であっても毎日顔が見たい。
喋れなくても良いの。
顔色や様子を見に来てるだけだから。
ジロウを見なきゃ1日が終われないのよ。
1日1日過ぎていって顔が綺麗になってきた気がする。
熱はまだ39度。
相変わらずご飯を食べるのは辛そう。
看護師さんに食べさせてもらってるけれど、少し食べたらキツいらしく、かなりの体力を消耗している。
でも、栄養を取らないと皮膚が再生しないからひと口でも多く食べようね。
季節はいつの間にかクリスマスモードになっていた。
一緒に過ごすはずだった日も病院だったね。
「プレゼント、本当はちゃんと渡すつもりだったのに……ごめんね」
そんなのどうでも良いよ、一緒に過ごせる今があればそれだけで。
こうして、ちゃんと会話出来る日もあれば全く噛み合わない日もあった。