この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘い蜜は今日もどこかで
第4章 【届かない想い】
「それは良かったです、明日はゆっくり休んでくださいね、月曜日からまた宜しくお願いします」
__明日は何してるの?椿こそ、ちゃんと休んでよ?
「休みますよ、明日は何処にも行かずに家に引きこもって自分の時間を有意義に過ごします」
__そうか、そうだよな、ちゃんと休まないとうちの仕事は大変だと思うから
「楽しんでますよ、秘書業務も大好きなので」
__え、秘書業務がなんて?よく聞こえなかった、もう1回言って?
「大好きなので…?」
__もう1回
「大好きなので」
__もう1回
「あの、わざと言わせてるでしょ?仕事が大好きなんですよ?わかってます?」
__アハハハ!ごめん、ごめん、その声で言われたらドキッとするな
缶ビールなんてとっくに飲み干してる。
2本目は明日顔が浮腫むといけないからやめておいた。
今から切ろうかって時にこの人は何を言ってるんだか。
顔と言ってることのギャップが凄いんですけど。
__時々、こうしてまた声聞かせてもらっても良い?
「えっと……それは………イレギュラーなのでやっぱり」
__お願い、5分でも、1分でも良い、椿が切りたくなったら切って良いし、出たくなかったら無視しても良いから
規則…規則って破りまくりなのに何を今更って思ってますか…?
ズルいやり方ですよね、重々承知の上です。
「それは………ダメです、わかってください……ボロ出ちゃいます」
__あぁ、クソ……やっぱり顔見て話すのが良いな、今どんな顔して言ってるのかわからないのは歯痒いな……次からはテレビ電話で話そう?
「ですからプライベートでの連絡はこれが最後というわけでして」
珍しくシドロモドロになっている自分に引いている。
まさかまさかの展開なんだけど、電話ってヤバいかも知れない。
副社長の声のトーンが心地良い。
新たな発見でもあり、新たな課題でもある。
この沼にハマっちゃいけない。
__俺の心の拠り所なのに………支えてくれないの?次の日とかさ、俺めっちゃ頑張るよ?椿からのおやすみなさいで終わる1日なんて最高じゃない……俺だって弱いとこ見せられるの椿だけなんだ……ねぇ、ダメ?