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おっかない未亡人
第26章 夜明け
目覚めると固いベッドの上にいた
なんだか見たことある天井

床で松下が腹を出して寝ていた

ん?

寝ぼけ眼で辺りを見回す


社宅?

てことは本社か
あたしはもう異動したのかしら
でも何で松下が横で寝てるの?

松下の腹の出っ張り具合で元の世界に戻ったことが分かった


「まっつん風邪引くよ。」

自分の布団をかけてやる

「俺の字は綺麗~。」

松下はむにゃむにゃ言いながら寝ていた

シンちゃんは?
無事に元の世界に戻れた?





少し先の未来に戻ったこと以外は
何ら変わり無い日々だった
もしかしたらタイムスリップなんて大それたことではなく
ただ夢を見てただけなのかもしれない

幸か不幸か慎吾が何も覚えていなかった
最近何か不思議なことは起こらなかったか聞いても
こっちが不思議がられるだけだった

むしろ私が一人で長い夢を見てただけかと思ったが
この男だけは同じ記憶を共有していた


「なんかさ、お前が急に現れてさ、未来の旦那がどーのこーのとかさ。記憶が2つあんだよ。俺どこか打ったのか?目覚めたら本社勤務になってるし。てゆーか何で社宅でお前の隣に住んでんだ?」

あー面白い

松下を自室に呼びつけてチューハイを飲む

ちょっと醤油貸してとか
明日の会議の資料見せてとか
何かと便利だった

向こうも向こうで彼女と遠距離になって寂しそうだし
あたしもシンちゃんと次会えるのはお正月だから暇潰しにはもってこいかな


「楽しかったねあっちの世界も。また行きたいな。」

「冗談じゃねーよ。お前に相当振り回されたんだからな。未来が変わってなくてほんと良かったわ。」

「間違いは犯さなかったよ?」

「俺たちはな。」 

「これで三原さんもシンちゃんとの結婚認めてくれるはず。」

「虫がいいなお前は。」

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