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おっかない未亡人
第4章 呑まれる性欲
「落ち着いた?」

タクシーが停まったのは関本のアパートだった
背中を支えられて部屋に上がるとココアをいれてくれる

自信満々にホテル行きましょうとか言った自分が恥ずかしくなる

「こんなもんしかなくてね。」

目も腫れていて痛いし
こんな失態を晒すはずじゃなかったのに

「男の独り暮らしだから殺風景でしょ?単身赴任になって妻のありがたさが分かるよ。」

ワンルームで簡素だった
テレビ、ベッド、机、座椅子、ソファ
まさにスマートな彼そのものな気がする

「支社も社宅作ってほしいよまじで。俺センスないからさ~。家具全部妻に選んでもらってさ。」

「奥さん、関本さんと離れて寂しいかもですね。」

「どうかな。たまーにこっち来て家のことしてくれるくらいだからなぁ。」

ネクタイを緩めている

「あーしっかし飲み会って疲れるよねぇ。俺向かないわ。」

幸子に気を使ってたくさん話してくれているのが分かる

「俺ソファで寝るから。ベッド使ってくれていいから。」

「すみません。なんかあたし、急に色々思い出しちゃって。」

「そんなこともあるよ。あーまた泣いて。」

ティッシュの箱が差し出される
もう泣きすぎて迫るどころではなかった
色仕掛けとか今は出来ない
幸子はいつの間にかつらつらと語り始めていた

「あたしは、夫に出来なかったことを松下にして、罪滅ぼししたかったのかもしれない。今思えば。でもそれはただの自己満足だったんです。相手にとっては重いだけだった。」

関本は焼酎をお湯割りで飲んで幸子の話を黙って聞いている

首もとが赤くなっていた

「夫も酔うと首、赤くなるんです。」

「そうなんだ。」

「死んだ人が生き返る薬ってないかしら。」

「今は、、、今は生き返ってほしくないっ、、」

頭を両手で包まれて舌が絡んでくる

んっっ、、ん、、、

酒の匂いがした
キスで幸子もまた酔いそうだ

床に座ったままソファに寄りかかる体制で顎から首にキスが降りてくる

ああっ

声が出る
ふと唇が離れる

「いい?」

目の前に関本の顔がある
今までに見たことない獣のような眼差しだった
本能的にこの人に食われると察知する

「お願いします。」

仕事の癖で変に敬語になるが
そんなことお構いなしにキスされながら胸を揉まれる

眠っていた下半身が呼吸を始めたような気がした
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